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44話 ページ45

「とは言ったものの。」

すたこらと帰っていったレイリを適当に見送って、
シロが戻ってきたのは数日前まで住んでいた基地。

「どうしたものか」

あんなにカッコつけて出ていったのに、
しかも司令官にもう辞めます!なんて言ったのに、
やっぱりここでいいですよ!
なんて格好がつかないにも程がある。
というか絶対に待っていると思うのだ。
あの円卓に座るか、
それか何か各々バラバラかは知らないが、
恐らく誰かは待ってくれていると思うのだ。

ありがたい反面、すごく気まずい。

センラさんにはすごい怒られたし……
とシロは独りごちた。
万事OK解決解決!とは行かないだろうて。

以前の自分なら、
もういいやって本部に帰ってただろうなぁ。
いや仲間なんていたこと無かったけど……
だってこの思考が時間の無駄って言うか
あぁ違う違う、
どうやってスマートに帰るかっていう話で…
いや帰ってきてよ!って言われてるんだから、
大手を振って帰っていいのかな……
嫌でもダサくない?ダサいよね?

「俺ちょっと見に行ってくる!!!」

「へ?」

ガン!!!!

痛い!というシロの声と
えっ?!と言う素っ頓狂な天月の声が重なった。

不意をつかれてシロは思い切り尻もちをつく。
左手は鼻に、右手は地面に。

「折れた……絶対折れた……」

「シロちゃん?!えっ?!なんで?!ごめん!!」

「折れたぁ……」

鼻っ面に思い切りドアが激突したので、
シロの目には生理的に涙が浮かんでいる。

天月は慌てて謝ると、
折れた?!
ちょっとごめん!見せて?とシロの手をどける。

「うわぁ鼻血!!!!
シロちゃんほんとごめん……!!!
さかたぁ!!!!ティッシュ!!!!」

ちょっとつまむよ!と天月は言って
シロの鼻を抑えた。

「ふみふぁへん」

「いや俺のセリフだから!
でもなんだってこんな所で……」

「ひょっほははんではふぃて」

「うん後で話そっか」

「ふぁい」

……暫く沈黙。
と、そこへ
バタバタと足音がして坂田が走ってくる。

「なんかあったん?!」

「なんだなんだどうしたどうした」

その後ろにうらた。

「シロちゃんの顔にドアぶつけちゃって!」

「ほふははふぃてはふ」

「うわぁ!!!」

「ちょ、ほら早く抑えろって!!」

ぼふ!とシロの顔に坂田が出した
ティッシュの塊が押し付けられた。
うらたがそれを上から抑え込む。
大丈夫?!シロちゃん!の声。

シロはそれを全部おしのけて叫んだ。

「窒息するわ!!!!」

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煮凝り - れもんさん» あ゛っ…!読み返してまで…ありがとうございます更新頑張りますね!! (2020年9月11日 22時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 煮凝りさん» 全然いいなのです〜!!今日また見返してほっこりしてますw!! (2020年9月11日 19時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - れもんさん» 返信遅くなってすみません…!ほっこりしていただけたなら嬉しい限りです!! (2020年9月10日 17時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - やああああ、いい仲間〜!!心温まる〜!!! (2020年9月4日 20時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - ささささん» わぁぁ嬉しいです……!!頑張りますね!! (2020年9月3日 19時) (レス) id: d8b345149a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:目に煮凝りができた | 作成日時:2019年12月23日 14時

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