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43話 ページ44

「ばっ、お前、じゃあ」

「そうなんですよねぇ。
司令官には遊撃士に戻してくださいって
言ったんですけどねぇ。
受理されたのかどうなのか。」

「……なんでそんな無茶を……」

「だって天月さんもれいさんも、
私の中ではいい人だったんですもん」

どちらも嘘なんてつく人じゃありませんから。
シロはそう言って笑った。
レイリはそれを聞いて面食らった顔をする。

「お前……幼少から軍部にいるくせに、
よくそんな真っ白でいられるな」

「名前がシロですからね」

ドヤ顔でそういうシロに、
レイリはなんとも言えない顔を返す。

と、その瞬間シロの端末が鳴った。

「すみません」

断ってシロは受信ボタンを押した。

「はいシロ」

『シロちゃん?!?!』

「ぅわ!?
っ、はい、シロですが……天月さん?ですか?」

言葉を遮るようにして天月が叫んだ。
反射的にシロは端末を耳から離す。
それでも余裕で聞こえる声音。
焦りを含んでいる。

「何かありました?」

『何かって……もう帰ってこないって本当?!』

「え?」

シロはキョトンと端末を見つめる。
レイリはそれを聞いてにっこり笑った。

「帰すよ
要るだろ?」

「は?!ちょっとれいさ」

『帰ってきて!!
今回の全部俺のためでしょ?!
言ったじゃん俺たち仲間でしょ!?』

『シロ!!まーしぃも俺も待ってんで!』

『はよ帰ってこいや』

『センラが謝るってよ〜』

向こう側から十人十色の声がする。
それが、名乗らずとも誰かわかるくらいには、
彼らと関わっていて。

「行け。俺も帰るよ、南に」

「れいさん……
どれだけカッコつけても
鼻水垂れてるし目ぇ真っ赤ですからね」

シロは困った顔でそう笑った。
レイリは何?!と慌てて袖で顔を拭う。

「きったな!」

「あぁ?!」

ぱっ!と飛んできた手刀を
左手で受けてシロは笑った。

「それじゃあ、れいさん、また」

「あぁ。……ありがとな」

「今度なんか奢ってください」

「……お前なぁ……」

シロはその返事だけ聞いて基地に駆け出した。

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煮凝り - れもんさん» あ゛っ…!読み返してまで…ありがとうございます更新頑張りますね!! (2020年9月11日 22時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 煮凝りさん» 全然いいなのです〜!!今日また見返してほっこりしてますw!! (2020年9月11日 19時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - れもんさん» 返信遅くなってすみません…!ほっこりしていただけたなら嬉しい限りです!! (2020年9月10日 17時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - やああああ、いい仲間〜!!心温まる〜!!! (2020年9月4日 20時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - ささささん» わぁぁ嬉しいです……!!頑張りますね!! (2020年9月3日 19時) (レス) id: d8b345149a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:目に煮凝りができた | 作成日時:2019年12月23日 14時

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