42話 ページ43
「先生が、俺を追い出してくれなかったら、
きっと俺、もう肉片ですよね。」
天月は儚く笑った。
分かってたと一言。
自分一人ついていけていないのは、
言われなくても本当はわかっていたと。
きっとお荷物で、
きっとどこかで切り捨てられる存在だと、
レイリに言われずとも
周りの視線がそう言っていた。
レイリはそれを言語化したに過ぎないと。
「今も、好きにはなれないです。
でも、息が止まるほど嫌いじゃなくなりました。
先生は、俺を結果的に俺をここに送ったことも、
後悔してるみたいな口ぶりだけど、
俺はここにいることがそんなに嫌じゃない。
吹けば飛ぶような命で、
自分一人の責任が皆に影響するような、
そんな吊り橋の上だけど。
ここでは俺も、対等だから。」
まふまふと共に思考し、
夜はセンラや坂田と戦闘に行く。
その人あたりの良さを買われて
敵国に諜報に行くこともあるし、
部隊の他の人間より温厚なので
本部に書類を提出しに行くこともある。
礼儀と柔和な態度から、
本部の人間にも顔と名前を覚えてもらっている。
「俺、ここでいいです。」
天月は、そう言って笑った。
そしてありがとうございますと告げた。
反射的に呆然としたレイリの顔が天月を見た。
次いでぼろりと涙がこぼれる。
「っ、いいのかよ、」
「俺らならいつでも」
うらたとそらるが言う。
天月は笑った。
「ほら、いい仲間でしょう」
「っ、本当に、すまない。
っ、すまなかった……！！」
しばらくレイリの嗚咽が響いていた。
その謝罪を天月は見て、
もういいですよと笑う。
シロはただただ、
その様子を眺めていた。
______________________________________
「れいさんも泣くんですねぇ」
「っ、うるせぇな……！」
収集がつかなくなったので、
シロはレイリを拾って引き上げてきた。
ニヨニヨと笑うシロの頭をレイリが叩く。
「あっ！
もっと他に言うことありません？」
「……世話になったな……」
「なんか老けましたね」
「ほっとけ！！」
安心したからか、
今まで背負ってきた
罪の意識から解放されたからか、
少し和らいだ顔を見てシロは笑った。
謝礼の言葉の返事は、
それくらいで十分だった。
「それにしても私、
また職場を失ったんですが」
「あ？なんでだよ」
ズビ、と鼻をすすってレイリ。
「だって今回の話、
全部私が無理やり上層部に通したんですよ」
「は？」
うーんと考え込むシロと、
ぽかんと口を開けた
レイリの顔が対照的にテントにあった。
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煮凝り - れもんさん» あ゛っ…！読み返してまで…ありがとうございます更新頑張りますね！！ (2020年9月11日 22時) (
レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 煮凝りさん» 全然いいなのです〜！！今日また見返してほっこりしてますw！！ (2020年9月11日 19時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - れもんさん» 返信遅くなってすみません…！ほっこりしていただけたなら嬉しい限りです！！ (2020年9月10日 17時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - やああああ、いい仲間〜！！心温まる〜！！！ (2020年9月4日 20時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - ささささん» わぁぁ嬉しいです……！！頑張りますね！！ (2020年9月3日 19時) (レス) id: d8b345149a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：目に煮凝りができた | 作成日時：2019年12月23日 14時
