38話 ページ39
「今更お前に伝えるまでもないが、
俺は基本的に南方の戦線に身を置く軍人だ。
必然的に南方で使えるような
戦闘技術を指導することになる。」
気候。風土。敵兵の性格。地形。
突き詰めていけば
いく千にも細かく傾向を掴めるであろう、
蓄積された情報とレイリの経験。
それを訓練の中に取り込む。
「今お前、鋭角に居ると言ったな。
南方の戦闘技術は、
一切鋭角じゃあてにならない」
「理由はどうせ分かってるだろうが……
守る戦いと、攻める戦は全然形が違うからだ。
天月が鋭角に向いているかと言うと、
あれはもっと……夜襲とか、
それこそお前のような遊撃部隊で使うような、
特殊な能力を持った男だ。」
シロはたんたんと口を開く。
「だから…追い出した？」
「違う！俺はそんなことはしない。
いくら使えないだろうと思っても、
少しでも長く生きられるように
指導するのが俺の仕事だ。
南には軍人じゃなく召集で来るやつもいるんだ。
殺れなくても凌げれば生きて帰れる奴もいる。」
レイリは語調を荒らげて叫んだ。
シロは仕事で南方に顔を出したことはある。
仲間を持ったことは無いが。
でもそうか、
そう言われれば動きに差があった気がする。
シロはそのまま黙って続きを待った。
「お前のいる鋭角と、南方の何が1番違うか。
……南方は殺せたやつが最強だ。
どんな手段でもいい。領地をぶんどったやつが。
敵兵を1人でも多く殺したやつが。
死体の山を築いたやつの勝ちだ。
それこそ指導員なんかはな。
……それで。
あの当時、
ひとつの戦法が取られていた。秘密裏に。」
「戦法？」
シロが知らないということは
軍部にも秘密という事だ。
つまるところ職務違反なのだが、
ここは学校でも職場でもない。戦場だ。
勝てばいい。それだけが真実。
｢拉致なんかで
敵国のガキがたまに軍部に来ることがある。
そのガキの脇の下に爆弾のスイッチを付ける。
爆薬はガキの体に巻く。
あとは敵兵がガキを抱きあげればドカンだ。
それの応用だよ。
ただただ、普通の一般人の振りをして歩く。
怪我や病のフリでもすればいい。
敵国の軍部や集団の中に入り込んだ瞬間に、
手元で爆薬のスイッチを押させればいい。」
「……なるほど」
褒められた戦法ではない。人道的には。
しかし有効的だろう。戦時中は。
正義になるだろう。
自国のためという大義の為ならば。
「もうわかんだろ。
その人身御供の対象になるのは、
まともに能力も使えねぇ
愚図って相場が決まってる」
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煮凝り - れもんさん» あ゛っ…！読み返してまで…ありがとうございます更新頑張りますね！！ (2020年9月11日 22時) (
レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 煮凝りさん» 全然いいなのです〜！！今日また見返してほっこりしてますw！！ (2020年9月11日 19時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - れもんさん» 返信遅くなってすみません…！ほっこりしていただけたなら嬉しい限りです！！ (2020年9月10日 17時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - やああああ、いい仲間〜！！心温まる〜！！！ (2020年9月4日 20時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - ささささん» わぁぁ嬉しいです……！！頑張りますね！！ (2020年9月3日 19時) (レス) id: d8b345149a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：目に煮凝りができた | 作成日時：2019年12月23日 14時
