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32話 ページ33

「っ……」

自分の知るレイリとは

あまりにかけはなれた天月の語るレイリに、

シロは困惑の表情をうかべる。

あんなにも豪気で、

部下思いの戦闘狂が、

まさかそんなことを言うだろうか。

……シロが入隊した頃には、

レイリは既に教育者の立場になっていたから、

天月は恐らく

レイリに教わったひとりなのだろうと推測する。

……今天月が言ったことが事実なら、

自分に向けるレイリの顔は、

一体なんだったのかと言いたくなる。

が、今日、確かにレイリも様子はおかしかった。

あんな顔の彼を、

シロは今までに見た事がない。

……真相を知るためには、

天月の証言だけでは足りない。

短い間だが、

いつも明るく、笑顔を絶やさない彼も。

幼い頃から

父親のような存在として隣にいたレイリも。

どちらもシロには疑えなくて。

「…………天月さん。
とりあえず落ち着いて。
この話はまた、きちんと聞かせてください。
話したくなかったら、
もう自分の中に閉まっておいて構いません。
……とりあえず今日は、
ゆっくり休みましょう。」

何とか言葉を振り絞る。

「……うん……」

その言葉を天月は素直に聞きいれて。

5分後くらいには、

規則正しい寝息が聞こえていた。

______________________________________

トントントン……

シロが階下に降りると、

天月と自分以外の円卓は埋まっていた。

机の上には何も無く、

既に夕食は終わっているようだ。

「え、と。何してんですか?」

「……天月は?」

うらたがその質問には答えずにそういう。

「寝ました」

「今日、何かあったの?」

まふまふがシロの目を見つめて尋ねる。

「……それは、
私から話せることじゃない……と思います。」

何かはあったと言っているようなものだが、

あの天月の態度で何も無かったはずもなく。

「お前、なにかしたの?」

「私じゃありません。
…それは断言します。」

そらるの冷たい声音に、

シロも今回ばかりは真面目に答えた。

「…………みんな色々あるもんな……」

坂田がボソリとつぶやく。

「坂田」

うらたの咎めるような声に、

坂田はごめん、と手でジェスチャーして。

「……でもまふまふ、
明日も任務入ってんやろ?」

そう話を続ける。

「……うん。」

「あまちゃんがいないのに
話合いするのはあれだけど、
非常事態だからこのまま進めるね。」

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煮凝り - れもんさん» あ゛っ…!読み返してまで…ありがとうございます更新頑張りますね!! (2020年9月11日 22時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 煮凝りさん» 全然いいなのです〜!!今日また見返してほっこりしてますw!! (2020年9月11日 19時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - れもんさん» 返信遅くなってすみません…!ほっこりしていただけたなら嬉しい限りです!! (2020年9月10日 17時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - やああああ、いい仲間〜!!心温まる〜!!! (2020年9月4日 20時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - ささささん» わぁぁ嬉しいです……!!頑張りますね!! (2020年9月3日 19時) (レス) id: d8b345149a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:目に煮凝りができた | 作成日時:2019年12月23日 14時

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