30話 ページ31
夜。
天月はいつまでたっても帰ってこなかった。
まふまふに、
「シロさん、あまちゃん知りません?」
と聞かれるも、
志麻から聞く限り彼の過去は
広まっていないようなので
「……さぁ。
置いていかれちゃったんですよ。
……誰かさんのお説教が長すぎて。」
と返しておく。
「はぁ?!?!」
怒るまふまふを尻目に、
唯一門が見える窓を覗き込む。
……もしかして帰ってこないつもりだろうか。
一体れいさんとの間に何が?
シロはそんなことに頭を使っていたが、
すぐに思考を放棄する。
レイリとばかり親しい自分に、
正しい推測なんてどうせ出来やしない。
そう結論づけて。
その時。
「…………ただいま」
やけに静かな声で、天月が帰ってきた。
「天月、遅かったな」
ドアのすぐ横にいたうらたが駆け寄り、
そう声をかける。
「あ……っちょっと、
昔の知り合いに会ってて…
ご飯、食べてきたから。
センラくんにごめんって言っておいて。」
おおよそ笑顔とも呼べない、
そんなグズグズの作り笑いで言われれば、
うたも「お、おう」
としか返せない。
天月はそのままリビングをスルーして
階段を昇っていき、
それを見届けたうらたが
「な、何があったんだよあいつ!」
なんてボソボソと叫ぶ。
「様子が変だね」
「……なんかあったんかなぁ……」
それに対してメンバーも反応するが、
話を聞くほど踏み込む勇気はなく。
「……私、ちょっと行ってきますね。」
しかしシロは
その空気を全く読まずにそう告げる。
「は?!」
「行ってきます。
……心配なので」
本心だった。
あの様子はどう見てもおかしい。
それにれいさんと何かあったなんて、
そんなことがあるだろうか。
若干贔屓目だとしても、
彼はいい人だし、そんな、
あんなことになるような人なはずは……。
129人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
煮凝り - れもんさん» あ゛っ…!読み返してまで…ありがとうございます更新頑張りますね!! (2020年9月11日 22時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 煮凝りさん» 全然いいなのです〜!!今日また見返してほっこりしてますw!! (2020年9月11日 19時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - れもんさん» 返信遅くなってすみません…!ほっこりしていただけたなら嬉しい限りです!! (2020年9月10日 17時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - やああああ、いい仲間〜!!心温まる〜!!! (2020年9月4日 20時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - ささささん» わぁぁ嬉しいです……!!頑張りますね!! (2020年9月3日 19時) (レス) id: d8b345149a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:目に煮凝りができた | 作成日時:2019年12月23日 14時