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3話 ページ4

「ほんとに出てこんのんや……」

赤髪…坂田は

新人のシロ以外

全員が揃った食卓を見てそういう。

「坂田。気にすんなって言ってるだろ」

「うらさん〜」

うらたはそんな坂田を咎めるように

口をだすが、

坂田はそんなことはお構い無しである。

「やってほんまに餓死してまうよ」

「…坂田はあの子が気に入ったん?」

「そういう訳ちゃうけど〜
だってまだ俺らよりも年下やで、あれ」

センラの問いかけに、

こんなしょーもないことで

死んでしまうとか、可哀そうやんか!

と駄々をこねる。

「…それは俺らだって一緒だろ。」

そらるが坂田の心優しい心配をぶった斬った。

能力に恥じない、

それこそ凍ってしまうような声で。

「…そらるさん。
…さかたん、
言い方は悪いけど僕達だって同じ立場だよ。」

目でそらるを制し、まふまふは淡々と言った。

「僕達が前線で戦い始めたのは、
もっと前なんだから。
…それに。
僕らの中に今他人に入ってこられるのに、
いい気分はしないでしょ?」

みんなそれぞれ色々あるみたいだしね。

そうでしょ?

そう問いかけるまふまふに、

全員揃って顔を歪ませた。

「…悪かった」

坂田はそうとだけ呟くと、

センラの作った料理を口に運び始める。

異様に重たくなってしまった空気に、

天月は頬をかいて。

「…こんな空気になっちゃって、
言いづらいんだけど…さ。
さっき上から命令が来て。」

と話を切り出した。

『!』

命令、

その単語で空気がまた違った方向に張りつめる。

命をかける仕事。

明日には誰かいなくなってしまうかもしれない。

そんな前線基地。

そこで半生を過ごした彼らにとって、

命令という言葉以上に、

気を張りつめる必要のあるものはなかった。

「…今夜、夜間の奇襲で
トロイトの方が
攻めてくるかもしれないらしいんだ」

それを察し、

天月も椅子をたって全員に資料を配る。

「…あーなんも
夕食後やなくてもええのになぁ」

「志麻くん、そういうこと言わない」

「というかトロイトが
自ら均衡を壊すとは思わなかったな……」

「現在四つ巴ですからねぇ」

「…まぁ、
僕達を狙うって気持ちはわかるでしょ?
そう考えたら、
この話にも信憑性がないとも言い難いんだ。」

この前線基地は、

オラスという国の最も北。

その中でもさらに先に設置されている。

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煮凝り - れもんさん» あ゛っ…!読み返してまで…ありがとうございます更新頑張りますね!! (2020年9月11日 22時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 煮凝りさん» 全然いいなのです〜!!今日また見返してほっこりしてますw!! (2020年9月11日 19時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - れもんさん» 返信遅くなってすみません…!ほっこりしていただけたなら嬉しい限りです!! (2020年9月10日 17時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - やああああ、いい仲間〜!!心温まる〜!!! (2020年9月4日 20時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - ささささん» わぁぁ嬉しいです……!!頑張りますね!! (2020年9月3日 19時) (レス) id: d8b345149a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:目に煮凝りができた | 作成日時:2019年12月23日 14時

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