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28話 ページ29

「さて。天月さん迎えに行こうかなぁ」

置いていかれたとはいえ。

私の愛車の方が絶対早いし!

と呟くシロ。

彼女の傍らにあるのは、

一風変わった形のバイク。

「さて、行くか相棒!」

なんてシロは言って、

ブゥン!とエンジンをかける。

そして。

あろうことかそのバイクは空を飛んだ。

______________________________________

「天月さんどこだろうなぁ〜
もう帰っちゃってたりして……」

本部。

先日報告で訪れて以来なので、

あまり久しぶりな感じはしない。

「あれ、シロ?」

キョロキョロと

当たりを見回しながら歩いていると、

後ろから声をかけられた。

「……!
れいさん!」

長身筋肉質。

軍人らしく顔に傷を刻み、

金髪を短く刈り上げている。

…名をレイリ。

数年前の足の負傷で前線を引退したが、

まだまだ中堅には負け知らずだと聞いている。

「なんだ、報告か?
……珍しく綺麗なナリだな!」

ガハハハハ!!

と豪快に笑う彼に、シロは

「いえ、今回は
基地の仲間の迎えに。」

と返す。

「んぁ?
一匹狼のお前さんに仲間なんていたのかい」

「それが転属になって、
今はあの、鋭角にいまして。」

「何?!正気か上は!」

目を大きく見開いて叫ぶので、

シロは慌てて自分の口元に人差し指を当てた。

「しーっ!!
なんでそんなに豪気なんですか!
司令室近いんだから!
また謹慎くらいますよ!!」

「わはははは!もう慣れたもんよ!!
……それにしてもお前を鋭角になぁ。
随分と慌ただしいのか、あっちは。」

元々レイリは

鋭角とは真反対の南の方の軍人である。

戦を指揮する立場であろうとなんであろうと、

とにかく1番に敵陣に突っ込む

どうしようもない戦闘バカ。

……1番鋭角に不向きな男である。

「三国共々しびれを切らしつつあるみたいで。
……でも、なんだか新鮮な気持ちで。
仲間、とか。
私にはいなかったから。」

「…………そうか。
そういえばあそこには」

レイリがそこまで告げた時だった。

「……シロちゃん?迎えきてくれた……の」

レイリの向こう、

シロの真向かいに天月が顔を出した。

が、すぐにその表情が固まる。

「あ…………」

その声を聞いてレイリも振り返り、

その表情が苦々しく染まる。

「………………天月」

「ひっ……!
っあ、お、ぼく……!あ、っ、!」

レイリにそう声をかけられた瞬間、

天月はモゴモゴと何かを言って、

弾かれたように走り出す。

「天月さん?!」

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煮凝り - れもんさん» あ゛っ…!読み返してまで…ありがとうございます更新頑張りますね!! (2020年9月11日 22時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 煮凝りさん» 全然いいなのです〜!!今日また見返してほっこりしてますw!! (2020年9月11日 19時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - れもんさん» 返信遅くなってすみません…!ほっこりしていただけたなら嬉しい限りです!! (2020年9月10日 17時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - やああああ、いい仲間〜!!心温まる〜!!! (2020年9月4日 20時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - ささささん» わぁぁ嬉しいです……!!頑張りますね!! (2020年9月3日 19時) (レス) id: d8b345149a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:目に煮凝りができた | 作成日時:2019年12月23日 14時

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