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24話 ページ25

「……初任務の時、
私の頭にあったのは
いかに学んだ技をなぞれるかどうか。
どうすれば簡単に、楽に。上手く、
相手を倒すことが出来るか。
ただそれだけでした。」

「志麻さんと違って
隊行動してはいませんでしたので、
自分の異様さに
気づくことも出来ませんでしたが。」

今思い知らされましたよ。

シロはそう言って足を組んだ。

「皆さんとはだいぶ状況も、入隊理由も、
違いますので私の感情なんて
あんまりあてにならないと思いますけどね。」

「………………」

あまりの発言に志麻は何も返せない。

ただ伏せられていた顔はあげられ、

その双眸はきちんとシロを捉えている。

「……でも私からしたら、
罪悪感をそれほど感じないことに
罪悪感を抱く志麻さんが、
1番心優しいんじゃないのと思いますがね。」

「人を殺すことに抵抗を覚えるのは、
自分の行為…殺人自体の、
ものの重さを知ると同時に
それを背負う覚悟…
というか責任が
自分にとって重圧になるからです。」

「あなたの場合は心が強いだけでしょう。
自分の行為に責任を負う。
それが出来てるだけ。
…いえ、別に
階下の彼らを非難するわけではありません。
それは僅かな差異です。
性格がせっかちか、おっとりかの差。
そんなもの。
……志麻さんが少し、
軍隊むきの性格だってだけ。
あなたは自分の中で、
自分の行為全てを覚えることで償ってる。
そんなふうに捉えてれば
いいんじゃないんですか。
……私よりは随分とマシですね。」

シロはそう言って微笑む。

「というかあんなに敏感な彼らが、
あなたのことを
なんの疑いもなく受け入れているんだから、
自分って実はクズ?!
って疑う方がバカバカしいでしょ」

「……お前怖いやつやなぁ」

志麻はその最後の一言を聞いて。

呆れたように笑った。

「…………そっかそっか。
俺は優しいやつやってことやな。
そーやんな。
あいつらがちゃんと証明してくれてるんや」

「やーい志麻の人間不信〜」

「血も涙もないやつに
言われたくないっちゅーねん。」

「あ、ひどい!」

あはははははっ!

と。

先程までの空気はどこへやら。

冒頭の彼らに逆戻り。

「な、生足見してや。
俺話したやん、な?」

「なんで私がしてあげた側なのに
まだ奉仕しなきゃなんないの!!」

出ていけ!!

と、

そんな楽しそうな会話をくり広げて。

あきらめ顔で退出を決めた志麻は。

扉を開いて部屋から出たあとで言った。

「……シロ、ありがとな」

「…いえいえ。」

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煮凝り - れもんさん» あ゛っ…!読み返してまで…ありがとうございます更新頑張りますね!! (2020年9月11日 22時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 煮凝りさん» 全然いいなのです〜!!今日また見返してほっこりしてますw!! (2020年9月11日 19時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - れもんさん» 返信遅くなってすみません…!ほっこりしていただけたなら嬉しい限りです!! (2020年9月10日 17時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - やああああ、いい仲間〜!!心温まる〜!!! (2020年9月4日 20時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - ささささん» わぁぁ嬉しいです……!!頑張りますね!! (2020年9月3日 19時) (レス) id: d8b345149a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:目に煮凝りができた | 作成日時:2019年12月23日 14時

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