【歌い手】神だからね

18話 ページ19

「なんでだよ！！
俺ら全員、餓鬼の頃から国のため国のため！！
命かけて戦ってんだよ！！！
それが、それが！！！！
っーーーー！！！！」

言葉にならない叫び声が、

シロの目の前で吐き出されていく。

「っ、なんで！！！！！」

その先は何も続かなかった。

言葉にならなかった。

国のためだけに生きてきたのに。

その国が裏切るのか？

全員で異動願いを出した日があった。

返事すら戻ってこなかったあの書類。

望んで兵士になったわけじゃない。

望んでここにいるわけじゃない。

望んで、こんな力持って生まれたんじゃない。

この仲間たちがいるから頑張れたのに。

その仲間を自分が殺すのか？

お前らの言うがまま踊ってきたのに。

お前らが俺たちを殺すのか？

明日が希薄でも、

それでも、生きてきたのに。

ぽっと現れた、

なんの位も、なんの立場も持たない、

ただ17そこらの女が。

その事実を告げるのか。

ボロボロ、とシロの上に温い涙が降り注いだ。

「……そらるさん…」

センラが無意識に言葉を紡いだ。

その顔は負けずと苦い。

全員同じ顔だった。

シロは抵抗すらしなかった。

する権利もないな、

とらしくもなく思っていた。

「…………よ」

うらたがつぶやく。

「うらさん？」

少し涙声の坂田が聞き返した。

「っ、負けねぇよ！！！！」

同じくらいの涙声で、うらたは叫ぶ。

「何弱気になってんだよ！！
天月！そらる！！何泣いてんだよ！！！
らしくねぇことしてんなよ！！！
まふまふ！
こういう時はお前が指揮すんだろうが！
お前の頭脳は俺らに必要なんだよ！
坂田！まーしぃ！センラ！！
いつもの明るさどこやったんだよ！！
……っ、全員で
今までも切り抜けて来ただろうが！！」

「初めて戦場出た時は！
俺ら全員なんも知らなかっただろ！
今じゃあの頃とは比べ物にならねぇよ！
ちょっと戦闘の形が変わったからなんだよ！
自分に責任ついてきたからなんだよ！
俺は死んだって構わねぇとか思ってたのか！？
あの日全員で生き続けるって誓っただろうが！
……覚悟持って戦ってきたのと、
これからもなんも変わんねぇよ！！
また全員で生き抜くだけだろうが！！」

ポロリと思わず涙がこぼれる。

「……っ、みんなで生きようぜ……！」

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