17話 ページ18
「元々能力者が増え始めた時から、
国における最大の出費は
軍事費に傾きつつあったんです。
それが続いてもう50年を越そうとしている。
……停滞を望むオラスはともかく、
他の国々は違う。
目に見える結果を求め始めている。」
真面目な話故にか、
全員の目つきも変わった。
「…例をあげればそれこそ、
夜襲、奇襲なんて今までの戦闘にはなかった。
当然のように宣戦布告がなされるはずだった。
……軍事費は湯水のように湧きはしません。
税であったり、貴族の寄付であったり、
誰かの財力によって賄われている。
……国も民は見過ごせない。
結果のでないものに
人はいつまでも投資しないし、
結果を出さない人間を、
いつまでも信用し続けはしない。」
「……それはオラスも同じことです。
オラスは主に
貴族の寄付で軍備を成り立たせていますので、
貴族を含め、王族の言う受け身な戦争を
やり続ける必要がある。
攻めてはならない。
しかし領土を
削られるようなことがあってもならない。
……私たちが思っているよりも、
この前線基地の立場は重要です。」
誰も口を挟むものはいなかった。
長らく前線にのみ身を置き、
唯一、
王都の司令部と繋がっているまふまふでさえ、
前線の人間だと知られているために
誰も重要な存在だと見るものはいない。
そのために一切流れてこなかった、
王都の情勢。戦争への意向。
客観的な自らが置かれている立場。
どれもが彼らにとって新鮮で、
何より重い事実だった。
「……極端な話をすれば。
誰か亡くなって均衡が崩れたり。
誰かの負けや失敗によって、
基地の立場が悪くなる、及び
一時であれ国土の一部に駐留されれば。
……こんなこと言いたくはありませんが…
見せしめ。そう、責任を負う、
そんな簡単な言葉で。
誰かが処刑されることも無くはない。」
シロの表情が珍しく歪む。
いつも明るい、というか少しおかしい彼女を、
そういう人間だと認識しつつあった彼らにとって、
それは少し異様に見えた。
それと同時に、
突きつけられた責任の重みに、
誰もが息を飲む。
背中を預けあって数年。
自らのせいで相棒を殺すことになる。
そのどうしようもない事実に、
苦々しく顔をゆがめた。
「っでだよ！！！」
瞬間。
そらるが思い切りシロに掴みかかった。
「そらるさん？！」
まふまふが叫ぶ。
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煮凝り - れもんさん» あ゛っ…！読み返してまで…ありがとうございます更新頑張りますね！！ (2020年9月11日 22時) (
レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 煮凝りさん» 全然いいなのです〜！！今日また見返してほっこりしてますw！！ (2020年9月11日 19時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - れもんさん» 返信遅くなってすみません…！ほっこりしていただけたなら嬉しい限りです！！ (2020年9月10日 17時) (レス) id: 070d398b9c (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - やああああ、いい仲間〜！！心温まる〜！！！ (2020年9月4日 20時) (レス) id: e9c3d8ad5a (このIDを非表示/違反報告)
煮凝り - ささささん» わぁぁ嬉しいです……！！頑張りますね！！ (2020年9月3日 19時) (レス) id: d8b345149a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：目に煮凝りができた | 作成日時：2019年12月23日 14時
