びくーっ！ ページ27
敷石に積もった雪を踏みながら歩いていた。あたりはもうすっかり暗くなっている。雪のふる空間が音を包む。近くにいる人は声しか聞こえなくて、息遣いは届かない。
「居ないね、」
「もう部屋で寝てんじゃないの。」
「そうだと言いけど、」
「A、大丈夫だから。」
松本くんにわしわしと頭を撫でられる。
「うん、」
なんだろ、この映画みたいなワンシーン。こう言うの、フラグ、って言うってこと知ってるんだけど、大丈夫だよね、ほんとに。
まだ雪は降り続けてる。昼間まで快晴だったのに、いつの間にか空が灰色に包まれて、さぶろーくんと別れる頃にはもうしんしんと降っていた。あ、そう言えば大広間来る時に部屋に寄ってマフラーそのままだ。さっき取ってきとけばよかった。寒くてすこし体が震える。
「…あれ？」
「ん？どうした？」
「見つけたんですか？」
「あ、いや、知り合いの子。」
前を向くと、ランチ友達兼後輩の、木村さんと三浦さんの後ろ姿。松の木を影に向こう側を覗いてる。何やってんだろ。
「ちょっと声かけてくる。」
「翔さんは？」
「ちょっとだから、お世話になってる子だし。」
「お世話してるんじゃなくて、お世話になってるわけ？A。」
「…いい人たちだからね。」
「あの人後輩？」
「そ、」
「後輩なのに！」
「ちょっと黙って二宮くん。」
「まぁまぁ、早く行ってきな？翔さんまだ見つかんないんだから。」
「うん、ごめん。」
2人の方へ早足で近づく。それにしても、松の木に隠れて見るほど熱心に何を見てるんだろう。この日本庭園の凄いいい景色でも見つけたのかな。
「三浦さん、木村さん。」
そう声をかけると、びくーっ！と面白いくらいに反応する2人。
「わ、ぁ、えっ、あっ、Aさん！」
「あ、！ど、どうも！さ、さっきぶりです！」
「どうしたんですかこんな寒いとこで。風邪引きますよ？早く戻らなきゃ。」
「2人も。そっちこそ風邪引いちゃうよ。」
「い、いや、私たちはいいんです！ちょっと散策してただけですから！」
「なんか熱心にあっち見てるみたいだったから。散策で1番いい景色でも見つけたのかなって。ちょっと気になる。」
「い、いやいやいや、別に、そんな気にする程のものじゃないので！」
「は！はい！ほんとに！そんなに！」
「そんなに？」
「あ、馬鹿！」
「あ、ごめんAさんにとっては結構なことだった！」
「あほ！そういうことじゃない！！」
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あま - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!! これからも応援してます!!! 頑張ってください!!!!! 待ってます!!!!! (2020年3月18日 1時) (
レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
さおりんご(プロフ) - とても面白く、いつも胸キュンしながら読ませていただいています。陰ながら応援させて頂いてますので更新頑張ってください！ (2020年3月17日 3時) (レス) id: 27caed879b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤乃 | 作成日時：2020年2月1日 0時
