銀景色！ ページ26
「ニノが要らないこと言うから、落ち着いてA。大丈夫だから。」
今までどこかに居るだろう、くらいで呑気に考えていたのに、谷底に突き落とされたみたいに気付かされてしまった。さあっ、と顔の血が引く。
「…ごめんA、ふざけすぎた。」
「や、…私こそ、ちょっと早とちった。」
大丈夫、そんなんで血の気が引くって私、焦るな。いや、冬の標高が高い山に登ったわけじゃないんだから。考えすぎだ。
「もう1回電話かけてみる？それかお前がいない間に行こうって決めてたとこ行ってみるか。ここに併設されてるやつだけど。」
「ん、とりあえず迷惑になるからここ出よう。」
「…A。」
「なに？二宮くん。」
「そんなに好き？」
「…なにが。」
「……わかるでしょ。」
「…とにかく、探しに行こ。」
「……」
2人の背中を押して、大広間を後にした。
松本くんが櫻井くんに電話をかけても、呼び出し音は鳴るんだけど繋がらなくて。私もかけてみたけど駄目だった。事故かもしれない、私にも松本くんにも、なんだか胸に翳りができて。旅館の中を探そうと言うことになった。
旅館に併設されてる酒屋に行ってみたけれど居なくて、スタッフの人にも聞いてみたけれど、ここには来ていないという。部屋近くの廊下や温泉の休憩所にも、その姿は見えない。屋内でないのなら、屋外かな、と旅館にある庭園へと、3人で足を向ける。
お酒と並び、旅館の売りである、綺麗に整えられた日本庭園。冬のために植物によっては葉が落ちているけれど、庭園にも雪が積もり、銀景色となって、冬の味が出ていた。きれい、と不謹慎にも櫻井くんが居ないのに呟いてしまうほど。
「すごいね、よく予約取れたよね、こんないいとこ。」
「うちの会社のコネなんですかねえ、旅館と繋がりあったっけ。」
「えー、お仕事させて頂いてるとこにはなかった気がするけど。部長か誰かの知り合いなのかな、経営者の方が。」
「…あ、足跡…」
松本くんが目敏く敷石の足跡を見つける。
「ほんとだ。」
「……でも他の旅行客も居るしな。まぁ、新しいことは確かだからまだこの庭園に誰かは居るんじゃないかな。」
分析推理する松本くん。探偵にでもなれるんじゃなかろうか。
「とりあえず行きますか。」
「そうね。」
それなりに広いこの庭園。少し骨が折れるかもしれない。
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あま - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!! これからも応援してます!!! 頑張ってください!!!!! 待ってます!!!!! (2020年3月18日 1時) (
レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
さおりんご(プロフ) - とても面白く、いつも胸キュンしながら読ませていただいています。陰ながら応援させて頂いてますので更新頑張ってください！ (2020年3月17日 3時) (レス) id: 27caed879b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤乃 | 作成日時：2020年2月1日 0時
