居ない！ ページ25
宴の盛り上がりも過ぎて、騒がしかった大広間が静かになりつつある頃。部長たちがもうお開きにしようかあ、と言い始めた。え、二次会に行くこともなく？って社員たちが騒ぎ出す。俺若い頃上司の相手するのすげー嫌いだったからお前らも早く休んじまえ、と部長が高らかに声を上げて。そんな彼に社員たちはうおーっと拍手喝采。いや、めんどくさいのは分かるけど拍手喝采て。正直嬉しいけど、上司のいる前で拍手喝采て。
まぁ、何、そういう訳で、早めに切り上がった社内の宴会に皆浮き足立っていた。かく言う私も、これでなんの言い訳をして宴会を抜けるか考えずに済んで、ほっとしていた。心置き無くお酒を楽しめる。あ、でも社員の人たちに一緒に居るとこ見られたら不味いかな。
片付けを、旅館の方に迷惑にならない程度でしておいて、私以外にもうひとっこ1人居なくなった大広間で櫻井くんに連絡を取ろうとスマホを取り出した。
「ようっ」
「うわっ！」
背中をいきなり叩かれて、握っていたスマホが落ちそうになる。声の主が分かって、後ろを睨んだ。
「そんな驚くなよ。」
二宮くんがくく、って笑う。
「誰でも背後から叩かれたら驚きます！」
「そうカリカリすんなってば。」
「A。」
二宮くんの後ろから松本くんも顔を出した。
「あ、松本くん。」
「翔さん知らない？」
「櫻井くん？なんで？」
「いや、ほら、翔さんが約束したって言ってたからさ。宴会の後皆で飲むって。」
「あ、」
あ、そっか、そうだった。何を私、社員の人たちに見られたら不味いかなあなんて、浮かれて。そうじゃん、あの約束の時も松本くんも誘って、って話になってた。
「どうした？心当たりでも？」
「え、あぁ、いや。私も今連絡しようと思ってたとこで。」
ああ、一瞬残念だなんて思ってしまった。2人きりだって期待して、1人で残念がるなんて。松本くんにも失礼だ。忘れてたのはこっちなのに。
「そっかあ、どうしたんだろ。」
「部屋はいなかったの？」
「うん、居なかったみたいよ？さっき潤くんが確認してきた。」
「じゃぁ、外…？でも、帰ってくる時約束の話したしなあ、」
「他のやつらと飲んでるとかないんですか？」
「いや、でも連絡もせずに行くような人じゃないしね。」
「事故とかないよな、」
「……え、」
「馬鹿、ニノ。」
ああ、そうだ、そんな可能性だって。
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あま - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!! これからも応援してます!!! 頑張ってください!!!!! 待ってます!!!!! (2020年3月18日 1時) (
レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
さおりんご(プロフ) - とても面白く、いつも胸キュンしながら読ませていただいています。陰ながら応援させて頂いてますので更新頑張ってください！ (2020年3月17日 3時) (レス) id: 27caed879b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤乃 | 作成日時：2020年2月1日 0時
