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教室へ戻ると、私は机の横に掛けているスクバの中から本を取り出して頭の中を整理しようとした。
一先ず好きな本を読んで1度頭の中をリセットしてから心を落ち着かせようと考えたのだ。
「あれ、センラどこに行っとったん？ずっと探しとったのに」
「別になんも。ただ屋上いってただけー」
「屋上？何しに？」
「んー……秘密？」
「何それ何それ！！気になるやん！！」
だ、ダメだ。
坂田くんの声を無意識に意識して聞いてしまう所為で、センラくんの声までが頭に入ってきてしまう。
私、おかしい。
頭の中が殆どセンラくんで埋まっちゃってる……
「(……今までこんな事なんて、なかったのに……)」
▽
▽
午後の授業が始まると、お昼を殆ど食べなかった所為で私は空腹に襲われていた。おそらくこうなるだろうと分かってはいたが、今更になって湧き上がってきた欲求に嫌気がさす。
だがしかし、勉強以外に取り柄のない私だ。成績を落とす訳にはいかない。
さも真面目に授業を受けているかのようにノートにメモをとった付箋を色々な箇所に張り巡らせ、マーカーを引く。そして先生が話をする度に軽く相槌を打った。
これで大体の先生は授業態度を良しとして、成績を上げてくれる。
でも、人間の三大欲求である食欲に勝つのは至難の業のようで、半分以上話は聞いていなかった。というか、鼓膜を入ってもすぐに通り抜けてしまうのだ。全然集中できない。
「______では、問1を折原」
その言葉に肩を跳ねさせた。
最早その名字を聞くだけで体が拒絶反応を起こすらしい。手に汗が滲み、小刻みに肩が震え出す。
しかし、鼓膜を通り抜けていく彼の低くて訛りのある良い声に視界の端に見えた女子達はうっとりとしているようだった。
そして、うちのクラスで1番可愛いと言われている藍原さんまでもがセンラくんを見上げてうっとりとしていた。
「(皆にはいい顔しちゃって……本当は紳士の仮面を被った悪魔のくせに)」
嫌味のようにそう思う。
センラくんがなにをしたいのか私には分からない。だからこそ怖い。純粋に象られた恐怖という感情が、見て見ぬふりができなくなるほど私を蝕み、湧き上がるのだ。
急に首に噛み跡つけられて、ファーストキスまで奪われて、なにをしたいのかなんて分かるはずないじゃん。
ペンケースからはみ出すセンラくんとの関係が始まった原因である消しゴムを見つめると、カバーの隙間から僅かに文字が見えた。
油性で書いたせいで少し滲んでしまっているその文字が、今は憎らしい。
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白雨(プロフ) - mさん» ごめんなさい気づかなくて返信遅れました(汗) 以前からの読者でしたか……！いつもお世話になっております◎ ありがとうございます〜！今度は最後まできっちり完結させるつもりですので、更新はゆっくりかと思いますがお付き合いいただけると嬉しいです(*´˘`*) (2月12日 0時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - コメント失礼します。以前からこの作品が好きで何度も読み返していたので再掲してくれて本当に嬉しいです！ありがとうございます。無理のないペースで頑張ってください。更新楽しみに待ってます🫶🏻 (1月11日 2時) (レス) id: ae0456fc9b (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - 貴月さん» 以前の読者さまがいらっしゃったとは、びっくりしました……！その言葉を聞くことが出来て、また書き始めてよかったなと思えました。今度こそ必ず完結させます。また見つけてくださって本当にありがとうございました！ (6月23日 21時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
貴月(プロフ) - コメント失礼します。以前からすごく大好きな作品だったので、またこの作品を読むことが出来て本当に嬉しいです！更新楽しみにしています…！ (6月21日 16時) (レス) id: 76caf5b15a (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - yumeさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです！後々、セさんの行動の意味や心情も分かるようになってきますので是非今後ともお付き合いください◎ (6月21日 11時) (レス) id: 8fe15b8549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：疑心暗鬼の中で芽生える執愛。
作成日時：2023年6月8日 21時
