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あんなことがあったのだ。ご飯は味なんてする訳がない。
削がれてしまった食欲と悲しさも混ざって、結局お弁当の中身は半分以上残ってしまった。いつも楽しみにしている砂糖が多めに入った甘めの卵焼き以外のおかずには殆ど手を付けていないし、相当のことだと思う。
あとで中途半端にお腹がすいて午後の授業集中できないだろうけど、それでも今は食べたくないや……
センラくんもさすがに悪いと思ったのか、泣いてる私を見てハンカチを貸してくれたのだが、泣いている原因がそれを差し出したセンラくん本人なのでもう何も言いたくない。
複雑な気持ちを抱えながらハンカチを見つめていると、そよ風に乗って彼と同じ爽やかな香水の香りがした。
でも、今更少し優しくされたからって、彼への感情が全てプラスになる事なんてない。
恨みがましく無駄に整った彼の顔を睨むようにして見つめるが、彼は何か考え事をしているのか私の視線には全く気が付かなかった。
「(……ほんと、なんでこんな人と仲良いのかな、坂田くん)」
センラくんが努力家なのも友達想いだということも知っている。いつもつい目で追っている坂田くんの隣にいる彼だから、私は視界の端でそれを見ていた。
……でも、所詮は外見だけだったって事なのかな。
そう思うと、今まで頼りあるイメージだった彼の印象は一気に悪魔へと変わっていった。いや、皮を被っていただけで元から悪魔だったのかもしれないが。
なんて考えていたら目眩がしてきたが、フラフラとしながらも私は立ち上がる。
「A、どこ行くん？」
その声と共に、先程までぼーっとしていたはずのセンラくんが立ち上がって私の通路を塞ぐと、逃げられないように手首を掴んできた。
それでも、その掴まれた手首は彼なりの配慮なのか私が反抗すれば振り解ける程の力だったものだから、何だか気持ちが揺らいでしまう。
優しくなったり急に強く当たってきたり、感情が不安定な人だな、とも思った。
「教室戻る。……私とセンラくんが一緒に居たら、誤解されちゃうし」
「俺としては誤解された方が好都合なんやけど。もう公言しちゃう？俺達付きあってますーって」
「っ、なに言ってるの！付き合うって……ほ、殆ど無理矢理だったくせに！」
まだふざけるのか、と半分呆れの混じった怒りが腹の奥からふつふつと湧き上がってきた。そのまま彼の手を振り解いて距離をとる。
そして先程のハンカチを彼に投げ返してから、教室へと逃げるように戻った。
「A……」
私の去った屋上で寂しそうな顔をした彼の顔なんて、私は知らない。
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白雨(プロフ) - mさん» ごめんなさい気づかなくて返信遅れました(汗) 以前からの読者でしたか……！いつもお世話になっております◎ ありがとうございます〜！今度は最後まできっちり完結させるつもりですので、更新はゆっくりかと思いますがお付き合いいただけると嬉しいです(*´˘`*) (2月12日 0時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - コメント失礼します。以前からこの作品が好きで何度も読み返していたので再掲してくれて本当に嬉しいです！ありがとうございます。無理のないペースで頑張ってください。更新楽しみに待ってます🫶🏻 (1月11日 2時) (レス) id: ae0456fc9b (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - 貴月さん» 以前の読者さまがいらっしゃったとは、びっくりしました……！その言葉を聞くことが出来て、また書き始めてよかったなと思えました。今度こそ必ず完結させます。また見つけてくださって本当にありがとうございました！ (6月23日 21時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
貴月(プロフ) - コメント失礼します。以前からすごく大好きな作品だったので、またこの作品を読むことが出来て本当に嬉しいです！更新楽しみにしています…！ (6月21日 16時) (レス) id: 76caf5b15a (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - yumeさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです！後々、セさんの行動の意味や心情も分かるようになってきますので是非今後ともお付き合いください◎ (6月21日 11時) (レス) id: 8fe15b8549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：疑心暗鬼の中で芽生える執愛。
作成日時：2023年6月8日 21時
