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その後は何事もなく、普通に雑談をしただけですぐに教室へ帰して貰えた。

しかしそれに安堵したのもつかの間、授業中だというのに先ほど無理矢理交換させられたLINEにメッセージが届く。

通知を入れていない私は勿論最初は気が付かなかった訳だが、視線を感じてゆっくりと振り返ると、斜め後ろの席に座っているセンラくんが口パクで『スマホ見て』と言ってきたので、大人しく従った。

脅しって怖い……。

そんな事を思いながら先生の様子を伺いつつ、机を使い死角を利用してなんとかLINEのトーク画面を開いた私は、顔が引き攣ったのが自分でも分かった。


『昼休み弁当もって屋上な。逃げたらバラす』


本気なのか、と思った。

ていうか最後の一言余計すぎる。その短い文章に込められた威圧に、私は思わず振り向いてセンラくんを見たが、当の本人はまるでなにも知りませんとでも言うかのように真面目に板書を写していた。

ていうか私、こんな事したらセンラくんのファンクラブの人達に殺されるような気がするんだけど……

そう、実は彼にはファンクラブがあるのだ。センラくんが入学した頃くらいに上級生を中心にして結成されたファンクラブなのだが、気のありそうな女子には容赦なく噛み付いていくという噂がある。標的になるだなんて御免だ。絶対に嫌。

ファンクラブ会員にバレた時のことを想像して身震いしたが、やはり逆らえる訳もなくて『わかった』と一言だけ送信した。


「(……こんな関係になるなら、センラくんよりも坂田くんに遊ばれたかったな……)」


なんて、馬鹿みたいなことを考える。遊びでもいいから、話がしてみたい。あの輝くような、純粋で綺麗な笑顔を私にも向けて欲しい。坂田くんはそんなことする人じゃないって分かってるけど、ただ暇つぶしするだけの相手でもいいから。

……まぁそんなの、夢のまた夢なんだけど。

今はそんなことよりも、この悪夢と見違えるようなこのセンラくんとの歪な関係をどうにかして改善しなくちゃ。何故か付き合うことになっちゃったけどこんなのお互いなにも得をしないし、そもそも好き同士じゃないのに付き合うのはどうかと思う。

未だにヒリヒリとした痛みを持つ首を片手で抑えながら、私は視線を床に落とした。

噛まれた首のことを考えると意識してしまって余計に痛みが増す気がするし、何故か胸が苦しくなる。空き教室の出来事を思い出して、心臓を抉られるような変な感覚に陥った。この感覚、なんなんだろう。苦しくて、複雑すぎて、上手く言い表せない。


「(……なんか、変な感じ)」

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白雨(プロフ) - mさん» ごめんなさい気づかなくて返信遅れました(汗) 以前からの読者でしたか……!いつもお世話になっております◎ ありがとうございます〜!今度は最後まできっちり完結させるつもりですので、更新はゆっくりかと思いますがお付き合いいただけると嬉しいです(*´˘`*) (2月12日 0時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - コメント失礼します。以前からこの作品が好きで何度も読み返していたので再掲してくれて本当に嬉しいです!ありがとうございます。無理のないペースで頑張ってください。更新楽しみに待ってます🫶🏻 (1月11日 2時) (レス) id: ae0456fc9b (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - 貴月さん» 以前の読者さまがいらっしゃったとは、びっくりしました……!その言葉を聞くことが出来て、また書き始めてよかったなと思えました。今度こそ必ず完結させます。また見つけてくださって本当にありがとうございました! (6月23日 21時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
貴月(プロフ) - コメント失礼します。以前からすごく大好きな作品だったので、またこの作品を読むことが出来て本当に嬉しいです!更新楽しみにしています…! (6月21日 16時) (レス) id: 76caf5b15a (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - yumeさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!後々、セさんの行動の意味や心情も分かるようになってきますので是非今後ともお付き合いください◎ (6月21日 11時) (レス) id: 8fe15b8549 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白雨 | 作者ホームページ:疑心暗鬼の中で芽生える執愛。  
作成日時:2023年6月8日 21時

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