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俺が好きになったものは、大抵親友に取られていくことが殆どだった。

坂田はなんでも持ってる。

先生、生徒問わず人望も厚ければ、クラスでの人気も高い。あの愛らしさのあるキャラが周りにはウケるのだろうけど、自分にとってそれは妬ましいと思ってしまう要素の一つだった。

彼とは幼い頃からの付き合いだし、なにかあったら助けてくれるのは坂田だし、友達として彼のことは好きだ。けれど、それ以外に俺は嫉妬という感情を常に抱いてきた。多分これは劣等感でもある

昔から好きになった女の子は大抵坂田のことが好きだったり、自分の親はいつも俺ではなく坂田のことを褒めていたり。学校で何か決め事があれば坂田くんに譲ってあげて、と何故か俺が折れさせられたり。なにもかも坂田が優先。

だから俺がこんな歪んだ性格になったんや。


「(……でも、今回だけは、Aだけは、とられたくない……)」


Aは高校に入って初めて好きになった女の子だった。

汚してしまいたいと思ってしまう程に無垢な笑顔がかわいくて、勉強熱心で真面目で、目の奥は自分と違って澄んでいて、それでもって優しい。

あの日、Aが覚えてへんのは分かっとるんやけど、俺は一瞬にして君に目を奪われた。


『……あ、えと、佐伯Aです。趣味は本を読むことと、映画鑑賞です』


高校生になって初めてのクラスで、担任からの提案で一人一人が順番に席を立って自己紹介をしていた時のこと。特に最初はなんとも思ってなくて、綺麗な声だなって思ってなんとなく彼女に目を向けた。

そしたら彼女とふと目が合って、その瞬間、胸がぎゅっと締め付けられた気がして─────まぁ分かりやすく言うと、これで一目惚れした。


あぁ、かわいい。好きだ。

なに、あの子。なんであんなにかわいいの。

俺のものにしたい。こっち見て。


なんて、Aの知らないところでずっと想ってた。

なのに……


「(……なんで、こっち見てくれんの……)」


彼女もまた、今までと同じように坂田のことを見ていた。

だから、脅した。フラれて傷つきたくなくてあたかもAで遊んでいるような言動をとっては、溜まった欲をぶつけるように無理やりキスして、その瞳の中に自分を映させた。


ねぇA、俺を見て。お願いだから、坂田じゃなくて俺を選んで。

……なんて、そんなことを思いながら、俺は坂田と楽しそうに会話するAの小さな後ろ姿を眺めていた。こんな最低なことをした分際で、俺が彼女を想う資格はないのに。

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白雨(プロフ) - mさん» ごめんなさい気づかなくて返信遅れました(汗) 以前からの読者でしたか……!いつもお世話になっております◎ ありがとうございます〜!今度は最後まできっちり完結させるつもりですので、更新はゆっくりかと思いますがお付き合いいただけると嬉しいです(*´˘`*) (2月12日 0時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - コメント失礼します。以前からこの作品が好きで何度も読み返していたので再掲してくれて本当に嬉しいです!ありがとうございます。無理のないペースで頑張ってください。更新楽しみに待ってます🫶🏻 (1月11日 2時) (レス) id: ae0456fc9b (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - 貴月さん» 以前の読者さまがいらっしゃったとは、びっくりしました……!その言葉を聞くことが出来て、また書き始めてよかったなと思えました。今度こそ必ず完結させます。また見つけてくださって本当にありがとうございました! (6月23日 21時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
貴月(プロフ) - コメント失礼します。以前からすごく大好きな作品だったので、またこの作品を読むことが出来て本当に嬉しいです!更新楽しみにしています…! (6月21日 16時) (レス) id: 76caf5b15a (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - yumeさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!後々、セさんの行動の意味や心情も分かるようになってきますので是非今後ともお付き合いください◎ (6月21日 11時) (レス) id: 8fe15b8549 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白雨 | 作者ホームページ:疑心暗鬼の中で芽生える執愛。  
作成日時:2023年6月8日 21時

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