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12.四角関係。 ページ45

いつも一緒にいる子達に呼び止められたようで、1時間目終わりの休み時間、藍原さんは私の元へは来なかった。

いや私としては好都合だけども。

でも、久しぶりにできた友達……だし、彼女って笑顔に濁りがないから目を合わせて話せるんだよね。それに、話を繋げてくれるから会話が続けやすい。

彼女もまた、坂田くんのように周りを惹き付ける力がある。その笑顔で何人の男子生徒や男性教師の心を奪ってきたのかは想像もつかないが、それも天性の才能なので羨むこと以前に才能の違いだと言って脳内では煩悩をすぐに片付けた。

それにしても、藍原さんってどうして私と話したいって思ってたんだろう。

それをセンラくんにも堂々と宣言して話してみたい!と言っていたみたいだし、嘘はついてないみたいだから不思議でならない。まぁそういう事だし、センラくんと坂田くんが目当てで私に近づいた訳ではなさそうだからそれが更に謎を深めるのだ。


「(変な感じ……いつもは、本読んでるだけの時間なのにな)」


今日は本も開かずぼーっとしていた。

指先にあたる窓から入り込んだ日差しが暖かい。全開に開いたドアから入り込む風が、優しく肌を撫でている。

委員会に入っているセンラくんは先程委員会担当の先生に呼び出しをされていたので、ギリギリまで戻ってこないだろうし坂田くんは男子達と一緒にどこかへ行ってしまった。

なんて平和なんだろう。

その一言に尽きるが、愛情を求めている心は素直で無意識に私はセンラくんを探していた。連れていかれてしまった彼を見つめてしまう程、今の私は気持ちがセンラくんに寄っているようだ。


「(……まぁテレビで見ちゃったってのもあるんだろうけど、)」


以前たまたまテレビの画面に映っていた仲睦まじい様子の坂田くんと女の子を見てしまって以来、元々センラくんに傾いていた柱は更に彼の方へと倒れかけているのだ。

惚れやすい私としては揺さぶりを掛けてくる彼に惚れてしまうのは時間の問題な気がするし、最早この流れに身を任せて今自分だけを見てくれているセンラくんを好きになる方が幸せになれるかもしれない、なんて最低なことすら考えてしまう。

それが一時の感情であっても、私を愛してくれるならそれでもいいと思ってしまった。

嫌われようと決意しても結局は本物を目の前にしてはそんな考え吹き飛んでしまうようで、私は無意識にどちらかを選ぼうとしていた。

私の好きな人は、どっちなの。

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白雨(プロフ) - mさん» ごめんなさい気づかなくて返信遅れました(汗) 以前からの読者でしたか……!いつもお世話になっております◎ ありがとうございます〜!今度は最後まできっちり完結させるつもりですので、更新はゆっくりかと思いますがお付き合いいただけると嬉しいです(*´˘`*) (2月12日 0時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - コメント失礼します。以前からこの作品が好きで何度も読み返していたので再掲してくれて本当に嬉しいです!ありがとうございます。無理のないペースで頑張ってください。更新楽しみに待ってます🫶🏻 (1月11日 2時) (レス) id: ae0456fc9b (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - 貴月さん» 以前の読者さまがいらっしゃったとは、びっくりしました……!その言葉を聞くことが出来て、また書き始めてよかったなと思えました。今度こそ必ず完結させます。また見つけてくださって本当にありがとうございました! (6月23日 21時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
貴月(プロフ) - コメント失礼します。以前からすごく大好きな作品だったので、またこの作品を読むことが出来て本当に嬉しいです!更新楽しみにしています…! (6月21日 16時) (レス) id: 76caf5b15a (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - yumeさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!後々、セさんの行動の意味や心情も分かるようになってきますので是非今後ともお付き合いください◎ (6月21日 11時) (レス) id: 8fe15b8549 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白雨 | 作者ホームページ:疑心暗鬼の中で芽生える執愛。  
作成日時:2023年6月8日 21時

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