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そう思う根拠は、先週の保健室でのこと。
感情が不安定になったセンラくんが零した殆ど独り言に近い言葉を、私は混乱しながらも聞き逃さずに聞き取った。俺は1年の頃からAのこと見てたのに、と言った彼の表情。ぐらぐらと硝子の光が揺れるみたいに、繊細な心がぐらついているのが手に取るようにしてわかった。
そこで彼が私に対して向けていた感情は本気で、センラくんは私を遊びではなく本当に好きなのだと知ってしまった。
今まで向けられてきた感情任せな言動に戸惑いながらもその影に隠れた彼からの好意を僅かながらも感じとっていた私は、確信してしまったのだ。
「(……センラくんは、私の事本気で好きだったんだ……)」
だからあの時、弱味を握られたあの日、図書室の端にいたはずの私の坂田くんの名前が書かれた小さな消しゴムに気づいたんだ。
私を見てたからあの時、彼はそれを目撃してしまい、突発的に巻き起こった感情のままに動いてしまったのかもしれない。その後にも、坂田くんしか見ない私に苛立って自分の気持ちを隠したままぶつけてきたのかもしれない。
思えば付き合おうと言い出したのも、私なんかにキスしたのも妙だと思っていたけど、そういう事だったのだろう。
坂田に近づけるかもしれんよ、なんて口では言っておいて本当はその奥に気持ちを隠していただなんて思いもしなかったけど、私の中の彼のイメージである悪魔のような印象が少しだけ和らいだ気がした。
感覚が似てるな、私とセンラくんって。
今まで好きになった人のことは影からしか見ず他の人と行動する場面を見ては嫉妬ばかりしていた私とセンラくんを無意識に重ね合わせていた。
「(……私が最初に好きになったのがセンラくんだったら、彼も辛い思いをせずに済んだのに……)」
同情だと言われても否定はできない。
だって実際そうだから。
センラくんと坂田くんの間で揺れる心に自分でも呆れを感じつつ、私は登りきった階段の先にある教室のドアへ手を掛けた。スライドさせて中へ入れば、今日も毎日変わらないクラスメイト達がいる。
正直この中で話した事があるのはごく僅かな数人程度なので、殆ど顔と名前が一致しないがまだ一学期なので許して欲しい。
そのままロッカーに荷物を入れることなく席に座り、先程の悩みの種を打ち消すようにため息を吐くとどこからか佐伯さん、と呼ばれたような気がした。
気の所為だと思ってスルーしていると、視線を落としていた机の表面に影がかかる。
「佐伯さんおはよ！」
顔を上げれば、そこには何故か藍原さんがいた。
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白雨(プロフ) - mさん» ごめんなさい気づかなくて返信遅れました(汗) 以前からの読者でしたか……！いつもお世話になっております◎ ありがとうございます〜！今度は最後まできっちり完結させるつもりですので、更新はゆっくりかと思いますがお付き合いいただけると嬉しいです(*´˘`*) (2月12日 0時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - コメント失礼します。以前からこの作品が好きで何度も読み返していたので再掲してくれて本当に嬉しいです！ありがとうございます。無理のないペースで頑張ってください。更新楽しみに待ってます🫶🏻 (1月11日 2時) (レス) id: ae0456fc9b (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - 貴月さん» 以前の読者さまがいらっしゃったとは、びっくりしました……！その言葉を聞くことが出来て、また書き始めてよかったなと思えました。今度こそ必ず完結させます。また見つけてくださって本当にありがとうございました！ (6月23日 21時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
貴月(プロフ) - コメント失礼します。以前からすごく大好きな作品だったので、またこの作品を読むことが出来て本当に嬉しいです！更新楽しみにしています…！ (6月21日 16時) (レス) id: 76caf5b15a (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - yumeさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです！後々、セさんの行動の意味や心情も分かるようになってきますので是非今後ともお付き合いください◎ (6月21日 11時) (レス) id: 8fe15b8549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：疑心暗鬼の中で芽生える執愛。
作成日時：2023年6月8日 21時
