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適当に温めた作り置きのお皿からラップを外して、中に入っている肉じゃがに箸を差し込んだ。
まだ昨日のものだし冷蔵庫に入れてたし、温めればちゃんと美味しく食べれるはず。
昔からだというのに未だに寂しく感じてしまう1人だけの食事に、自分の気持ちを誤魔化すように余計なことを考える。ぱくり、と口に含んだじゃがいもはすぐに形を崩して喉奥へと通り、腹へと落ちた。
どうしてだろうか、ちゃんと漬け込んでいたから味は染みているはずなのに、どうしてこんなに薄味に感じるのだろう。
その後は無心になってただ腹を満たすだけの為に食べ物をひたすらに口の中に運び、噛んで砕いてから喉奥へと流し込むという一連の動きを繰り返した。
「ごちそうさまでした」
そう言って手を合わせて、箸と茶碗を持ってシンクに水を漬けて放置すると私はおもむろに顔を上げた。
気分が落ち着かない。
だからこんな時こそ、小説を読むべきだと思った。
頭の中がぐちゃぐちゃなら、1度頭を空っぽにして違うお話に塗り替えてから元に戻せばいい。白紙になった場所に気持ちをもう一度まとめればいいだけだ。
この前買ったばかりのまだ読めていない小説があったはずだ。タイトルなんて覚えてないけど、確か私がよく行く書店のその月のイチオシだとかなんとかで、読むと気持ちがスッキリするだとかいう言葉がポップに大きく書いてあった気がする。
私にもその効果はあるのだろうか、と思いつつ思い出したら即行動だと自分の部屋の棚から選んだその本を取り出す。
小説は1巻完結物の普通の小説だった。
表紙に描かれたこちらをじっと見つめる女の子の絵が、やけに悲しげに見えるのは気のせいだろうか。一言で言うと、全く内容が想像できない。
これは期待できそうだなとページを数ページめくった頃には、私はすっかり本の中の世界へと引きずり込まれていた。それは学生時代負った傷が増幅し、いつしか心に鬱を抱えていた女性が自分を立て直すという一見はいい話だった。
けれど、よく考えれば理不尽な話だった。
女性は途中、幾度となく人間から突き放されては人間不信が増し、それを一時期は薬に頼って誤魔化していた。最後は自分を立て直せていたけれど、多分それも一時的な感情に過ぎない。
心的外傷から、永遠に立ち直れる訳なんてないのだ。そんな強い人間いる訳もない。
「(……面白かったけど、逆に気分が下がった気がする)」
一般人から見ればいい話でも、心が汚れた私が読めば全てが悪く見えてしまったようだった。
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白雨(プロフ) - mさん» ごめんなさい気づかなくて返信遅れました(汗) 以前からの読者でしたか……！いつもお世話になっております◎ ありがとうございます〜！今度は最後まできっちり完結させるつもりですので、更新はゆっくりかと思いますがお付き合いいただけると嬉しいです(*´˘`*) (2月12日 0時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - コメント失礼します。以前からこの作品が好きで何度も読み返していたので再掲してくれて本当に嬉しいです！ありがとうございます。無理のないペースで頑張ってください。更新楽しみに待ってます🫶🏻 (1月11日 2時) (レス) id: ae0456fc9b (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - 貴月さん» 以前の読者さまがいらっしゃったとは、びっくりしました……！その言葉を聞くことが出来て、また書き始めてよかったなと思えました。今度こそ必ず完結させます。また見つけてくださって本当にありがとうございました！ (6月23日 21時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
貴月(プロフ) - コメント失礼します。以前からすごく大好きな作品だったので、またこの作品を読むことが出来て本当に嬉しいです！更新楽しみにしています…！ (6月21日 16時) (レス) id: 76caf5b15a (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - yumeさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです！後々、セさんの行動の意味や心情も分かるようになってきますので是非今後ともお付き合いください◎ (6月21日 11時) (レス) id: 8fe15b8549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：疑心暗鬼の中で芽生える執愛。
作成日時：2023年6月8日 21時
