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昔から、私は愛という情を異常に欲していたのだと思う。
私に関心がない訳じゃないけれど、単身赴任で忙しくて私に構ってくれない父と、今日の朝もそうだったように、よく数日の出張で家を留守にする母の間に生まれてしまった私は幼い頃から孤独を持って育った。だから、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。
満たされたいからと誰にでも自然に見える下心を隠した愛想を振りまいては、心に注がれる形のない見えないものに縋って、満足するまでそれを欲しがる。
だって、褒められると嬉しい。
求められると、必要とされてるみたいで応えたくなる。
どうしようもなく、誰かに愛されたい。
「(どろどろだ……)」
歪んでる。
センラくんも少し……っていうか、こんな事する時点でかなり歪んでいるけれど、私も歪んでいる。
表情を見て相手の心情を察することができないほど私は純粋じゃなかった。
だから、彼を拒絶できない。それでお察しの通り、もちろん坂田くんのことも拒絶できなかった。
「俺は1年の時からAのこと見てたのに……なのに、なんでAは坂田を選んだの?俺じゃ不満?」
「ま、まってセンラく」
「体だけでも、俺のもんにすればええん?……なぁ、A」
「っ?!せ、センラく、どこに手入れて……!」
「このまま脱がせて、なんも付けずに中に出したげよーか?妊娠させて、堕ろして、また妊娠させてって繰り返せば、もう坂田に向ける顔とかなくなるやんな?」
そう言った彼の顔は、先程とは打って変わってどこか興奮に充ちていた。曇ったような妙な濁りを持つその瞳に怯えて、背筋が凍るような感覚に陥る。
あ、だめだ、食われる。
僅かに紅潮した頬を隠すこともせず、センラくんは私をベッドの上に押し倒した。そして上に跨ると、スカートの下に手を入れながら私の唇に自身の唇を押し付けた。
ふにっとした感触と共にスカートの中を這う手も徐々に内部に侵入し、太腿の付け根に触れたり敏感な肌の表面をスーッとなぞったりして、その行為は余計な事を考える暇なんてなくなるくらいに私の思考を削いだ。
「や、ぁ……ねぇ、まって……っ」
「……Aの身体はどっちを選んでくれるんかな。俺、結構テクには自信あんねんけど、坂田も何気に経験あるからなぁ……どうやろ」
「ちょっ、と……っ!待ってって、言ってるじゃん……!」
「は。なに、口答え?」
冷めた口調にぞくり、と背に悪寒がした。
私を見下ろすこの視線に、やけに腰がゾクゾクと反応するのはどうしてだろう。
「ペナルティやなぁ、A?」
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白雨(プロフ) - mさん» ごめんなさい気づかなくて返信遅れました(汗) 以前からの読者でしたか……!いつもお世話になっております◎ ありがとうございます〜!今度は最後まできっちり完結させるつもりですので、更新はゆっくりかと思いますがお付き合いいただけると嬉しいです(*´˘`*) (2月12日 0時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - コメント失礼します。以前からこの作品が好きで何度も読み返していたので再掲してくれて本当に嬉しいです!ありがとうございます。無理のないペースで頑張ってください。更新楽しみに待ってます🫶🏻 (1月11日 2時) (レス) id: ae0456fc9b (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - 貴月さん» 以前の読者さまがいらっしゃったとは、びっくりしました……!その言葉を聞くことが出来て、また書き始めてよかったなと思えました。今度こそ必ず完結させます。また見つけてくださって本当にありがとうございました! (6月23日 21時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
貴月(プロフ) - コメント失礼します。以前からすごく大好きな作品だったので、またこの作品を読むことが出来て本当に嬉しいです!更新楽しみにしています…! (6月21日 16時) (レス) id: 76caf5b15a (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - yumeさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!後々、セさんの行動の意味や心情も分かるようになってきますので是非今後ともお付き合いください◎ (6月21日 11時) (レス) id: 8fe15b8549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白雨 | 作者ホームページ:疑心暗鬼の中で芽生える執愛。
作成日時:2023年6月8日 21時