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学校へ着いたものの、保健室にはまだ朝早い時間だからか誰もいなくて、それで当然のこと保健室の先生もいなかった。

しかしまだ若いはずの保健室教諭の彼女は相変わらず忘れっぽいようで、不用心にも鍵が開いていた。

それに気づいたらしい坂田くんは私を抱えたまま器用に片足をドアに引っ掛けると、そのまま足でドアを開けた。


「失礼しまーす……って、誰もおらんっぽいな」


まぁ好都合やけど、なんて言ってニコニコとした笑顔を浮かべる彼は私をベッドの1つに降ろすと、額に浮かんでいた汗を腕で拭った。

汗をかいて少し髪の毛が湿っているけれどそれですらかっこいいと思ってしまう私は重症だと思う。

肌の白い彼の頬を伝う汗にすら見とれてしまい、シーツに背を預けながらぼーっとしていると、突然坂田くんがこちらに視線を向けた。彼を見つめていたから、当然目が合うわけで。

その赤く、とろんとした、蜂蜜のようなとろみを持つ瞳と目が合ったその瞬間、背にゾクゾクとした悪寒に近いようなものが走る。何故か、彼に征服されたような気持ちになった。


「A、もう大丈夫?」

「う、うん……大丈夫だけど、その……」

「ん?」

「な、名前……」


すると彼は「あ、」と今まで気づいていなかったかのような声を出して「ごめん、嫌やった?」と私に困り顔で尋ねてきた。こてん、と首を傾げる姿にはどこか可愛らしさを感じる。

……狡い。

そんな顔、拒める訳ないのに。


「嫌じゃないよ。……ただ、びっくりしただけ」

「じゃあ、俺も呼び捨てで呼んでもええかな?」

「うん。それに、呼び捨てされる方が……その、嬉しいかな……」

「ほんまに?!よかった〜!」


恥ずかしい。

ちょっと大胆過ぎたかな。坂田くん一瞬戸惑ったみたいに目をまん丸にしてたの、見えたし。

嬉しいとか、もう意識してるみたいだし勘づかれてもおかしくないじゃん。もう、変な所で積極的にならなくてもいいのに……私のバカ。

なんて後悔している私を他所に、彼は枕に頭を預けて寝ている状態の私の上に覆い被さるようにして抱きついてきた。その事実に、途端に顔が熱くなって「さ、坂田くん……っ?!」と慌てたような言葉を口に出す。


「A、俺嬉しい。Aとはずーっと話してみたいと思ってたしさ、今回隣になれてほんまにラッキーやったわ」


背に腕を潜らせられて、ぎゅっと正面から抱きしめられる体。

恥ずかしいけれど、私に触れる君の体温が嬉しかった。













「(……A、また顔真っ赤や。ほんまにかわいいなぁ……はやく、堕ちておいで。俺んとこ、おいで)」

・→←6.挟まれた愛。



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白雨(プロフ) - mさん» ごめんなさい気づかなくて返信遅れました(汗) 以前からの読者でしたか……!いつもお世話になっております◎ ありがとうございます〜!今度は最後まできっちり完結させるつもりですので、更新はゆっくりかと思いますがお付き合いいただけると嬉しいです(*´˘`*) (2月12日 0時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - コメント失礼します。以前からこの作品が好きで何度も読み返していたので再掲してくれて本当に嬉しいです!ありがとうございます。無理のないペースで頑張ってください。更新楽しみに待ってます🫶🏻 (1月11日 2時) (レス) id: ae0456fc9b (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - 貴月さん» 以前の読者さまがいらっしゃったとは、びっくりしました……!その言葉を聞くことが出来て、また書き始めてよかったなと思えました。今度こそ必ず完結させます。また見つけてくださって本当にありがとうございました! (6月23日 21時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
貴月(プロフ) - コメント失礼します。以前からすごく大好きな作品だったので、またこの作品を読むことが出来て本当に嬉しいです!更新楽しみにしています…! (6月21日 16時) (レス) id: 76caf5b15a (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - yumeさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!後々、セさんの行動の意味や心情も分かるようになってきますので是非今後ともお付き合いください◎ (6月21日 11時) (レス) id: 8fe15b8549 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白雨 | 作者ホームページ:疑心暗鬼の中で芽生える執愛。  
作成日時:2023年6月8日 21時

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