・ ページ7
もうやだこの人、色々とめちゃくちゃすぎる……。
「んじゃ、帰ろっか」
放心状態になってしまった私はそんな彼の声を聞いてとりあえず自分の机の横に掛けてあるスクバだけ取りに行ったのは覚えているが、その後のことは曖昧にしか覚えていない。
記憶に残っているのは職員室に寄って行った時、うらたが完全に怯えている校長から退学届けをぶんどった所くらいだ。
「やけに大人しくなっちゃったけど、そんな学校辞めんの嫌だったの?」
「当たり前でしょ!この悪魔!」
校舎を出てとりあえず校門の方へ向かうその道中、私は彼に噛み付くが如く吠えた。まだまだ高校でやりたい事だってあったし、高校を卒業したら進学して取りたい資格もあったのに。
私の人生、もうめちゃくちゃだ。
そう思うと涙が滲んでくる。これからどうすればいいんだろう。やっぱり学校に隠れて警察が出てくるのを待っていればよかった、なんて今更になって後悔した。
だってこんな奴が経営してる会社なんてろくな企業じゃないに決まってる。きっと水商売とかその辺だろう。そんなことをやらされるなんて、そのくらいならいっそ死んだ方がマシな気すらしてきた。
「おい、荷物」
「うす」
その声を聞いてハッとする。校門の前に停まっているリムジンの前で待機していた男たちが私の元へぞろぞろと寄ってきて、私の手の中からスクバを取っていった。
え、と思いながらその様子を見ていると、なぜか彼らに「お嬢さん」と呼ばれて車へ乗るように指示された。
一応どうすることも出来ないので車に乗り込みつつも、私は先程のことを思い出しては頭の中にクエスチョンマークを浮かべた。お嬢さんなんて呼び名をつけられるとは、全くしっくりこない。なんだか丁寧な言い方だったけど、彼らは私が借金返済をする側であることを忘れているのだろうか。
いやそんなわけないか。
違和感を感じながらも特に気にしなくてもいいかという結論に至った私は窓の外を眺めた。しかし、いつしか自分の方へ注がれている視線に気づいてしまう。窓に反射して、見えてしまったのだ。
「…………なに」
「んー、別に。これからおまえのことどうしようか今考えてただけ」
彼は澄ました顔でそんな事を言った。
うわ、私これからどうなるんだろ……何考えてるのか全然分かんないから想像できないけど、きっと酷い未来が待っているのだろう。
「おまえ、俺の恋人のフリしてくんね?」
「……へ?」
「元々はこの前の猫カフェで働いてもらう予定だったんだけどさ、おまえ度胸あるから丁度いいと思って。なぁ、やるだろ?」
698人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
李 雨月(プロフ) - 垣瀬さん» コメントありがとうございます。お仲間ですね〜!私も動物シリーズ大好きです(*´˘`*)♡ 私は初めて聴いた時から書きたくて仕方なかったです……笑。更新頑張りますので今後とも是非お付き合いくださいませ◎ (6月22日 19時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
垣瀬(プロフ) - コメント失礼します!!動物シリーズほんっっと大好きです♡♡この曲のパロも出ないかなーって思ってました!🥺お体に気を付けて更新頑張ってください!🙇 (6月22日 7時) (レス) @page5 id: 644357a4d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白雨 | 作成日時:2023年6月21日 15時