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2.暴君。 ページ6

「ほら、早く行くよ」


今度は、彼の方に腕を引かれる形で廊下を進むことになった。言動全てめちゃくちゃな癖に、私の腕を掴む彼の手にはほとんど力が込められていなかった。

振り解こうとしたら、すぐにその手を離せるくらいの力。遠慮してる訳ではなさそう、でも、なんとなくそれに気づいてから私は大人しくなってしまった。なぜか反抗しようという気力が湧いてこなかったのだ。

この人もしかしたら意外とそこまで悪い人では無いのかも……なんて思いながら歩く。

そして気づけば私の在学するクラスの教室が見えてきた。しかしなぜか彼は全く歩みを止めることなく進んでいき、更には「え、中まで入る気?嘘でしょ?」という私の声を無視した。

この人まじで何考えてんの?!本気で教室まで行こうとしてるじゃんなんで?!!

後半は混乱する私をほぼ引きずるような形で連れていった彼。もう怖くて教室の中が見れなかったが、視界の端に目を見開きながらこちらを見ているクラスメイトと驚きを隠せずにいる先生の姿が映っていて私はそれこそ本物の絶望を感じた。


「だ、誰ですか貴方!授業中ですよ!」

「あ?こいつ連れてきただけだよ」

「え、白石さん……?」


先生が私の名字を呟く。すると、クラスメイトの視線も全て私の方へと突き刺さった。

怖くて教室のドアの前で隠れていたのに、ズカズカと中へ入っていったうらたによって私は嫌でも視線を浴びることとなった。


「あ、あはは……私早退するので、荷物取りに来たんです……」

「は?違うだろ」


なんとか誤解をとこうと言い訳を口に零すが、それを真っ向から否定したうらたに手首を引かれる。

あまりに勢いよく引かれたものだから、私は体勢を崩して転けそうになってしまい、ついうっかり彼の胸に飛び込んでしまった。いやもう不可抗力だった。バランスを崩してしまったのだから、どうしようも出来なかったと思う。

そしてやってしまった、と顔を青くする私のことを片手でそっと抱きしめ返したうらたは、先生の方へ振り返ると自信に満ちた表情で言った。


「こいつ俺と結婚するから、今日で学校辞める予定なの」


一瞬にして、周囲にどよめきが走った。

そしてその発言に1番驚いたのはもちろん私なので、思わず突拍子もないような声を出していた。いやほんとになに、訳わかんないこの人。


「なに勝手なこと言ってんの!?」

「だって学校辞めるのって理由が必要なんでしょ?これで堂々と辞められるね」


よかったね、なんて言って笑っている姿を見て、殴りたいと思ったのは言うまでもない。

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李 雨月(プロフ) - 垣瀬さん» コメントありがとうございます。お仲間ですね〜!私も動物シリーズ大好きです(*´˘`*)♡ 私は初めて聴いた時から書きたくて仕方なかったです……笑。更新頑張りますので今後とも是非お付き合いくださいませ◎ (6月22日 19時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
垣瀬(プロフ) - コメント失礼します!!動物シリーズほんっっと大好きです♡♡この曲のパロも出ないかなーって思ってました!🥺お体に気を付けて更新頑張ってください!🙇 (6月22日 7時) (レス) @page5 id: 644357a4d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白雨 | 作成日時:2023年6月21日 15時

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