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「起こしてくれればよかったのに……」
「いや俺何回も起こしたんやで?起きんかったの君やからね?」
そう言ってまたお酒をちびみびと飲み始めたのは、私を助けてくれたあの男性だ。緊張が解けていつの間にか車の中で寝てしまったのだが、気づいたら彼の家に居た。
きっと運んでくれたのだろうが、重くはなかったのだろうか。
「あ、そういえば君名前なんていうん。下の名前教えてや」
「A」
「ほーん、Aちゃんか……そかそか。俺はそうやなぁ、センラって呼んでくれればええから」
「え、本名教えてくんないの」
そう言ってみたものの、センラさんは何も答えずにまた1口グラスの中身を飲んでいた。なんだか随分と薄い色の飲み物を飲んでいるけど、一体何を飲んでいるんだろう。お酒っぽい気はするけどそれにしては薄すぎる気が。
私がじーっと見ていたからか、気になったらしいセンラさんはちらりとこちらに視線を寄越した。
「なんやぁ、そんな熱い視線向けてきて。手出されたいんか?」
「はっ?!」
「でもなぁ、Aちゃんまだ未成年やからなぁ……俺ロリコンとちゃうし興奮しいひんかもしれへん。上手にオネダリできるんやったら考えるけど」
「なっ、何言って……!」
思わぬ反応に、私はかぁっと自分の顔に熱が昇っていくのを感じた。
ほ、ほんと何言ってんのよこの人……!!
顔を真っ赤にして恥ずかしがるAを見たセンラは、思っていたものとは違う反応を見せた彼女をじーっと見つめた。保護者に性的に搾取されていたのかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
こういった発言を嫌がったり怖がったりせずに照れている様子を見る限り、そういったことに対しては嫌悪感より羞恥心が勝つようだ。なんかようわからんけど、大丈夫そうやな。そう分析したセンラはそのままぐいっとAの服の袖を引っ張った。
「男とひとつ屋根の下やねんから、それくらいの覚悟しとかんとなぁ?」
「ろ、ろりこん……」
「あ?だからロリコンちゃう言うてんねんこっちは」
「え、酒くさ」
「なんていうか、Aちゃんって雰囲気もクソもないんやな」
素直すぎて思ったことがすぐに口に出るタイプのAを前に、そう言って彼女を離したセンラは再び思考を巡らせる。
別に元からこんな子供に手出そうとも思ってないけど、こんな素直にこられると萎えてしまうというものだ。なんとなく保護者から向けられていたであろう執着をかわしてきたAの姿が想像できたセンラは、ほくそ笑んだ。
「(……しばらくは退屈しなさそうやなぁ)」
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李 雨月(プロフ) - 垣瀬さん» コメントありがとうございます。お仲間ですね〜!私も動物シリーズ大好きです(*´˘`*)♡ 私は初めて聴いた時から書きたくて仕方なかったです……笑。更新頑張りますので今後とも是非お付き合いくださいませ◎ (6月22日 19時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
垣瀬(プロフ) - コメント失礼します!!動物シリーズほんっっと大好きです♡♡この曲のパロも出ないかなーって思ってました!🥺お体に気を付けて更新頑張ってください!🙇 (6月22日 7時) (レス) @page5 id: 644357a4d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白雨 | 作成日時:2023年6月21日 15時