7.思いがけない。 ページ42
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うらたが駐車場へと向かう少し前の時間、隣の部屋で送り込まれた男たちを一足先に返り討ちにしていたセンラは自分の部下たちを呼び寄せた。
「んじゃ、あとは頼んだからね」
汚れてしまった手をぱっぱと払ってから、部下に刺客の始末は任せて自分は地下へと向かう。
襲ってきた男の1人が別の役割の男に話を聞いたらしく、うらたんの女が今回の目的だったということを意図も簡単に打ち明けたのだ。これは面白いことになった。
「(……でも、多分もう遅いかもなぁ)」
会えへん確率の方が高い、というのは自分でもよく分かっている。襲撃されてから多少時間が空いているし、おそらくは自分たちが襲撃されるよりも前にはうらたんの女は襲撃に合っていただろうから、今頃どこかしらに誘拐されていてもおかしくない。
だが面白いもの見たさで、センラの足は動いていた。地下駐車場へと続くドアを開けて、普段から携帯している拳銃の位置を確認してから一歩進み出る。
すると、微かに血の匂いがした。
やはりこちらでも喧騒があったようだ。キョロキョロと辺りを見渡しながら適当に歩いていると、不意に見覚えのある顔の男が床に伏せっているのが見えた。重症ではないが、脚を撃たれたようだ。どうやら出血とそのショックで気絶しているらしい。意識はなかった。
近くに寄って見てみると、やはり見知りの男だった。うらたんの部下だ。
可哀想になぁ、なんて思ってもいないことを呟きながら立ち上がると、不意に視線を感じた。どうやらまだ意識のある人物がどこかに隠れているようだ。姿が見えないのでどこにいるのかは分からないが、気配は感じられる。
「誰かおるみたいやけど、なんなん。隠れられると俺気悪くなるから出てきてくれへんかなぁ」
少し棘のある言い方をしたから出てこないだろうなぁ。そんな度胸のあるやつあんま見たことないし。
そう思っていた俺は驚いた。
どこからか声がした。物陰から出てきたのは、高校生くらいの女の子だった。身なりは良さげだし多分このビルのお偉い奴らの中の誰かが連れてきて、不運にもこの件に巻き込まれてしまった子だろうが、なぜこんな所に。
「あ、あなたも悪い人?」
「まぁ悪い人と言えば悪い人やけど、武装してたやつらの仲間とちゃうで?俺はちょーっと危ないだけのお兄さんやねん」
「うわぁ……自分のことお兄さんって呼ぶタイプの人間だ……」
「ちょ、君思ったより生意気やな。てか思ったこと全部声に出てるの気づいてる?」
「あ」
これは、面白い女の子と出会ったようだ。
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李 雨月(プロフ) - 垣瀬さん» コメントありがとうございます。お仲間ですね〜!私も動物シリーズ大好きです(*´˘`*)♡ 私は初めて聴いた時から書きたくて仕方なかったです……笑。更新頑張りますので今後とも是非お付き合いくださいませ◎ (6月22日 19時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
垣瀬(プロフ) - コメント失礼します!!動物シリーズほんっっと大好きです♡♡この曲のパロも出ないかなーって思ってました!🥺お体に気を付けて更新頑張ってください!🙇 (6月22日 7時) (レス) @page5 id: 644357a4d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白雨 | 作成日時:2023年6月21日 15時