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ナンバーを変えるのって違法なんじゃ……とも思ったが、今はそんなこと気にしていられるような状況ではなさそうなので、私はとりあえず大人しく外を見つめていた。
だんだんと男たちがこちら側に来ている。ナンバーを確認しながら歩いているから下の方に気を取られているけれど、あと数分もしたらきっとこの車に気づくことだろう。
なんでこんなことになってるのか全然分からないけど、とにかく今は逃げるしかないだろう。
「……外に、行きましょう。とりあえず、うらたと合流しないと」
私がそう言うと、おじさんは何か他の人たちに指示を出してからゆっくりと後部座席の方へと向かった。そして1番後ろのドアを開けると、私を手招きした。
どうやらあのドアだけ開く時の音が静かな仕様になっているらしい。ドアを開けたのに音がほとんどしなかった。いつも使ってるドアとは違う音だ。裏社会の人間ともなるとこんなに車を改造しているものなのか、と感心してしまった。
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「うらたん、なぁんか招かれざる客が来たみたいやねぇ」
「呑気に言ってる場合かよ。なんだよあいつら」
「いや俺も知らんて」
このビルの1階にある会議室にて会議をしていたうらたとセンラは、突然乱暴に開いたドアを見て呑気にそんな会話をしていた。
武装をしてめざし帽を被った男たちが数人。しかも2人は拳銃を所持している。
いち早くその場の状況を把握したうらたは面倒くささを感じて思わず「はやく帰りてぇ……」と呟きながら、ため息を吐いた。今日はAと一緒にレストランに行って夜景を見ながら食事をする予定だったのに。
と、そこまで考えたところでうらたはふと思う。
「(……今日、Aのこと駐車場に待たせてるじゃん)」
呑気だった思考は、一気に焦りへと変わっていく。襲撃なんて数ヶ月に一度はあることなので慣れているが、Aは違う。
なんの力もないような女なのだ。可愛くて、弱くて、泣き虫な、俺の女。その時になって、失いたくないと初めて思った。
「あの茶髪と金髪の男が幹部だ!殺せ!」
「げ、俺かよ」
「状況良くないなぁ……うらたん、俺右の部屋いくから、残った人数の相手よろしく」
そう言うと、センラは走り出した。どうやら相手は素人のようで、走るセンラを追い掛ける様は隙しか見当たらない。なんだか引っかかるが、今は気にしてもいられなさそうだ。
……時間は掛けられない。さっさと片付けよう。
殴りかかってきた男の拳をかわして、その腹に蹴りを入れる。やっぱりこいつらど素人だな。
「ほら、かかってこいよ」
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李 雨月(プロフ) - 垣瀬さん» コメントありがとうございます。お仲間ですね〜!私も動物シリーズ大好きです(*´˘`*)♡ 私は初めて聴いた時から書きたくて仕方なかったです……笑。更新頑張りますので今後とも是非お付き合いくださいませ◎ (6月22日 19時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
垣瀬(プロフ) - コメント失礼します!!動物シリーズほんっっと大好きです♡♡この曲のパロも出ないかなーって思ってました!🥺お体に気を付けて更新頑張ってください!🙇 (6月22日 7時) (レス) @page5 id: 644357a4d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白雨 | 作成日時:2023年6月21日 15時