・ ページ36
.
「今日の夜Aも仕事場まで連れてくから」
「へ」
うらたはそれだけ言うと、それ以降何も言わずにお昼ご飯を口に運んでいた。
肝心の説明が全くないまま会話が終わってしまったので、何故連れていかれるのかという疑問を抱きながらも、私はまぁいいかという思考に陥ってすぐに考えるのをやめた。うらたのことだから仕事の帰りに一緒にどこか寄ろうとか考えてんでしょ。
でもこれ以降はプレゼントとかはやめて欲しいな……私に与えられた個室が完全に荷物置き場になってるから。中々量が多いもので、なんならたまに増えていくから本当に整理が終わらないのだ。
気に入っているシルクのパジャマとかは毎日着るし何枚あってもいいけど、装飾品とかはまじで困る。外に滅多に出ないのにどこで付けんのよ。あとメイクしないから使い方分からない化粧品たち。練習しろってことか。
「今日の夜は和食？洋食？どっちがいい？」
「うーん、洋食がいい」
「飯の話になると急に笑顔になるよなおまえ」
「1日の楽しみがご飯くらいしかないんだもん」
そうかよ、なんてぶっきらぼうに言いながら、うらたは完食したらしく食器をさっさと片付けてしまった。ゆっくり食べてないで私も早く食べよ。
▽
▽
久しぶりに外に出るということで、ブランド品以外に服がないので仕方なくそれらを着つつ、私はネックレスだけ身につけた。
うらたの機嫌が良くなる、彼の瞳と同じ緑色のダイヤモンドの宝石が嵌め込まれたネックレス。ちなみに軽いしかわいいから個人的にも好きだ。肩が凝らなくていい。
「準備できた？」
「化粧わかんないからリップだけ塗ってきた」
「ふ、それだけでも似合ってるよ。映えて見える」
こいつが人を褒めるだなんて何事だろう。失礼なことを考えつつ私は彼の手をとる。
だってこいつの手を借りないと靴履きにくいんだもん。ローヒールとはいえ、高さがあるものはやっぱり苦手だ。歩く時に違和感あるなぁ、なんて思いながらも、私はいつもより少し顔が近い位置にあるうらたの顔を盗見た。
本当にこの人感情が表に出ないなぁ。
「なに、俺の顔に見とれてた？」
「自意識過剰すぎでしょ」
「Aちゃん生意気な口聞いちゃって……いいの？俺今仕事行くの嫌でイライラしてんだけど」
げ、と思った。
どこで入ったのか分からないけどドSのスイッチが入ってしまったらしい。気づいた時には遅くて、エレベーターに乗り込んだ瞬間、私の体は壁まで追い込まれていた。そして至近距離にうらたの顔があって─────
あ、詰んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 698人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
李 雨月(プロフ) - 垣瀬さん» コメントありがとうございます。お仲間ですね〜！私も動物シリーズ大好きです(*´˘`*)♡ 私は初めて聴いた時から書きたくて仕方なかったです……笑。更新頑張りますので今後とも是非お付き合いくださいませ◎ (6月22日 19時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
垣瀬(プロフ) - コメント失礼します！！動物シリーズほんっっと大好きです♡♡この曲のパロも出ないかなーって思ってました！🥺お体に気を付けて更新頑張ってください！🙇 (6月22日 7時) (レス) @page5 id: 644357a4d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白雨 | 作成日時：2023年6月21日 15時
