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疑ってたなんて、彼は全然そんな素振りを見せていなかったのに。
どうして分かったんだろう……なんて思ったが、ふと坂田が言っていた伝説レベルで酷いうらたの女嫌い遍歴を思い出してすぐ納得した。そういえばこいつ超がつくほどの女嫌いなんだって言ってたよね。今も腰に手を回してきてるし距離近いし本当かどうか怪しいけど。
でも今までの周りの反応を見る限りそれは嘘じゃないっぽいし、でも本当だとしたら相当やばい気がするのだが。そんな奴が急に女作ったら私でも疑うわ。明日世界滅ぶんじゃないかレベルでびっくりすると思う。
「あれ、てことは……私泣かされる必要なかったんじゃ……?」
「は?あれは必要だったんだよ、信じさせんだからあれくらいした方がいいだろ。それにおまえ、意外と素質ありそうだったし」
「え、なんの資質?」
「んー。ドM的なやつ?」
「うわむり気持ち悪いこと言わないでよ」
うらたの発言に寒気がした私はぞぞっと背中に走った悪寒に身震いしながら自分で体を抱きしめるみたいに前で腕を組んだ。
慣れないハイブランドの服の感触、慣れない異性と一緒に過ごすこの時間、全部全部慣れないのに、やけに頭の中は冷静で早くもこの現実を受け入れ始めていた。
車の中に大量に積まれた自分への贈り物へと視線を移すと、何だかため息が出てくる。まるでどっかのマフィアのボスにでも惚れられてしまったみたいな気分である。人に気に入られて損は無いと今まで思っていたけど、この人の場合は大損な気がする。
ていうかこんなのに慣れたら金銭感覚狂いそうで怖い。
「……犯罪者予備軍め」
「残念ながらもう予備軍じゃありませーん」
「え」
「なにその反応。俺がちゃんとした仕事やってると思ってた?まぁ日本でやってる事業は法律スレスレだけど、問題ないレベルのもんだよ。だけど俺、元々海外に居たから」
つまり日本に来る前は、犯罪に手を染めていた、という事だろうか。
しかもそれを感情の読めない笑顔を浮かべながら言うものだから余計にゾッとした。こいつ、危ない奴だ。前々から勘づいてはいたけど、やっぱり裏社会の人間だったし間違いなく関わっちゃいけないタイプだ。
「そんなかわいい顔すんなよ。怯えた猫みたいで可愛がりたくなっちゃうだろ」
「……」
「……なに、その目。俺の事怖くなったの?さっきまで言い返してたくせに、急に怖気付いた?……でもだめだよ、A。おまえはもう俺のもんだし、逃がさない」
安心してよ、俺自分のものは大事にするタイプだから。
そう言って、うらたは笑った。
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李 雨月(プロフ) - 垣瀬さん» コメントありがとうございます。お仲間ですね〜!私も動物シリーズ大好きです(*´˘`*)♡ 私は初めて聴いた時から書きたくて仕方なかったです……笑。更新頑張りますので今後とも是非お付き合いくださいませ◎ (6月22日 19時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
垣瀬(プロフ) - コメント失礼します!!動物シリーズほんっっと大好きです♡♡この曲のパロも出ないかなーって思ってました!🥺お体に気を付けて更新頑張ってください!🙇 (6月22日 7時) (レス) @page5 id: 644357a4d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白雨 | 作成日時:2023年6月21日 15時