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「なんでそんなげっそりした顔してんの」
「もうやだ……この人金遣い荒すぎてやだ……」
「うーん、さすがに連れ回しすぎたか。クレープ食べたいんでしょ、行く?」
その言葉を聞いた私は、ぱっと顔を上げた。
すると感情の読めない表情を浮かべているうらたと目が合った。数時間ずっと連れ回されていたから何となくわかってきたけど、この真顔とも言えない顔の時はそこまで機嫌が悪くない時だ。
これはいけるぞ。
そう思った私は彼に向かって自信満々で言った。
「私2つ食べる!アイスもホイップも増量したやつ!」
「いいけど、食いきれんの?」
「食べれるもん」
食い意地を張る私を見て、クスッと笑った彼は「はいはい、分かったよ」なんて子供を相手するみたいに言いながら私の手をとった。
慣れない恋人繋ぎに、手に汗が滲む。
めっちゃ手汗かいてきたけど大丈夫かな。なんて思ったけど特に気にしていないらしいうらたはさっさと歩き出してしまった。
だけどやっぱり心配になってきて、これなら腰に手を回されている方がマシなんじゃ……なんて事を悶々と考えていると、高級ブランドの店が軒を連ねている通りを抜けて、気づけば商店街まで来ていた。彼の部下のひとりがクレープ屋さんまでの道を調べてくれたらしく、うらたに端末の画面を見せている。
「こういうとこ初めて来たわ。日本にもこういうとこあるんだな」
「商店街初めてとかやば……あ、なんかこの辺りめっちゃいい匂いする。なんの匂いかな」
「なに、お腹すいてんの?」
「空いてるよ。だって歩き疲れたもん」
慣れない服とヒールのある靴で店を渡り歩いたので、疲れてしまったのだ。ほとんどの店がうらたに対してVIP対応だったから、私選んでるうらたの横でずっと椅子に座って飲み物飲んでただけなんだけどね。
でも移動の時は歩いてたし、選ばされた時は動き回ってたからやっぱり休息を挟んでいたとしても疲れるものだ。
「んで、どれがいいの?」
「これと……これ!ください!両方ホイップ増量で!」
「はーい、ではお会計1430円になります。ありがとうございます」
スマートに会計を済ませてくれたうらたにお礼を言いつつ、私はクレープの生地を焼いている店員さんの手元をジーッと見つめていた。
暫く食べていなかったからクレープを食べるのは久々だ。
ホイップを絞り、パリパリのクレープ生地の上に生クリームとチョコソースとイチゴ、バナナ、とトッピングが乗せられていく。更に上から追いホイップをして形を作ってから大きなバニラアイスを乗せて、これで完成のようだ。
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李 雨月(プロフ) - 垣瀬さん» コメントありがとうございます。お仲間ですね〜!私も動物シリーズ大好きです(*´˘`*)♡ 私は初めて聴いた時から書きたくて仕方なかったです……笑。更新頑張りますので今後とも是非お付き合いくださいませ◎ (6月22日 19時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
垣瀬(プロフ) - コメント失礼します!!動物シリーズほんっっと大好きです♡♡この曲のパロも出ないかなーって思ってました!🥺お体に気を付けて更新頑張ってください!🙇 (6月22日 7時) (レス) @page5 id: 644357a4d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白雨 | 作成日時:2023年6月21日 15時