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4.俺の女。 ページ20

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「おはよ、A」


そう言ってこちらに柔らかく微笑んで見せた男は、思わず見とれるほど顔が良くて私は寝起きの頭でろくに考えずに「おはよ……」と返していた。

少し寝癖が着いているらしく変なところで跳ねている茶髪を手で直しつつ、「なんか今日暑いな……」なんて言いながら前髪を掻き上げる。その仕草ですら絵になるのものだから目の保養をする為に、私はその間もぼーっと彼を眺めていた。

すると、それに気づいたらしい彼がこちらへ視線を寄越す。


「なぁに、そんなに俺のこと見つめちゃって。キスしたいの?」


なんか夢でも見てるみたいだなぁ。こんなイケメンにこんなセリフ吐かれるなんて、絶対現実じゃないよ。

そこまで考えたところで、不意に私の腹の虫がぐぅと鳴いた。


「あ、お腹空いた」

「……おまえほんっとブレねぇよな」


呆れながらそう言った彼は、その言葉とは対照的に楽しそうに口角を上げていた。













「さっき気づいたんだけど、なんで私ベッドで寝てたの?ソファで寝てたはずなのに。ん、このハムエッグうま」

「Aって寝ぼけてると記憶残らないタイプ?」


そう言ってトーストをかじるうらたに、私は首を傾げた。

もしかして昨日の夜寝てる間に何かあったのだろうか。多分というか、絶対うらたが私をベッドまで運んでくれたんだろうけどそんなの全く身に覚えがない。


「ベッド行く?って聞いたら、おまえ自分から俺に抱きついてきたのに」

「なにその妄想こわい」

「おいその目やめろ」


全く記憶にない出来事を語る彼を怪訝そうに見るがもう一度「その顔もやめろ」と言われて終わってしまった。

なので大人しく黙って出されたオレンジジュースに口をつけて、横目で大型テレビのに映っている朝の情報番組を眺めた。昨夜の出来事が嘘みたいに何事も無かったみたいに過ごす彼だが、私の首はまだヒリヒリしている。私は忘れてない、こんな傷をつけられて忘れる訳ない。

獣みたいだな、肌に噛み付くなんて。

ふと、そんな風に思った。しかし、ちらりと彼の方を盗み見るが当の本人は優雅に紅茶を飲んで澄ました顔をしていた。私だけが意識してるみたいでムカつく。


「あ、そうだ、俺今日休みなんだよね」

「えぇ……」

「明らかに嫌そうな顔すんの辞めてくんね?……まぁいいや、なんでも好きなもん買ってやるから出掛けよ。デート行こ」

「じゃあクレープ食べに行きたい。トッピングおっきいやつ」

「Aの頭の中って食べ物の事しか考えられないようになってんの?」

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李 雨月(プロフ) - 垣瀬さん» コメントありがとうございます。お仲間ですね〜!私も動物シリーズ大好きです(*´˘`*)♡ 私は初めて聴いた時から書きたくて仕方なかったです……笑。更新頑張りますので今後とも是非お付き合いくださいませ◎ (6月22日 19時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
垣瀬(プロフ) - コメント失礼します!!動物シリーズほんっっと大好きです♡♡この曲のパロも出ないかなーって思ってました!🥺お体に気を付けて更新頑張ってください!🙇 (6月22日 7時) (レス) @page5 id: 644357a4d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白雨 | 作成日時:2023年6月21日 15時

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