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私が言葉を言い終わる前に、走ってきたらしい志麻くんが防音室のドアをすごいスピードで開けて「逃げろ！！」と叫んだことで、私の意識はそちらに持っていかれてしまった。
志麻くんの額には汗が滲んでいて、何事かと思っているとびっくりしたらしい子供たちが怖がりながら志麻くんの方へと駆け寄って行った。
私も釣られて彼の方へ寄っていくと、志麻くんはやけに冷静な表情で子供たちの頭を撫でた。
「火事やからはよ行き。今キッチンから出火してんねん。おまえらはもう赤ん坊じゃないし、みんな一緒に居れば逃げられるな？」
「大丈夫、おれ逃げられるよ！」
「早く逃げよう！」
子供たちはしっかりとした様子でそう言って、年長者たちは幼い子たちの手を繋いで部屋を出始めた。
一体どういうことだろう。困惑していると、志麻くんに名前を呼ばれた。振り返れば、困り顔でこちらを見ている志麻くんと目が合った。私は一瞬にして察する。なにか、意図があるんだ。
「うらたさんが警察に電話掛けて、1回報道陣を規制してもらってる。チビたちの顔、テレビに映すわけにいかんからな……チビたちには未来があるから、こんなとこで一緒に死んだらあかん」
「……覚悟、決めたってこと？」
「おん。きっとこの先俺らは殺人犯のレッテルを貼られて生きることになるし……もう、疲れちゃったしな」
ダメだ、私には止められない。
彼らをこの世に引きとどまらせるだけの理由が、私には見つけられない。それに私から言い出したことなのだ、今更引き返すことも出来ない。私も死にたいと思ってしまっているから。彼らとなら、どこへでも行けると思ってしまっているから。
黙り込んでいると、穏やかな顔した坂田くんが「俺、Aのことは平気やった」と突然話の脈絡が合わないことを言ってきた。
「女の人怖いって思ってて、みんな無理やって思ってたけど……俺、Aだけは平気やったんよ。やっぱりAのこと好きだからかなぁ」
「へ？」
「こんな時にずるくて、ごめん。Aのこと、ほんまに大好きやねん、俺。確信した。最初は怖いかもって思って近づけんかったけど、でも触っても大丈夫やったし、Aのこと好きな気持ちしか湧いてこんくて……ねぇ、Aも俺のこと好き？」
真っ直ぐな視線を向けてくれる坂田くんは、優しい目をしていた。
昔みたいな笑顔だった。あの時の、純粋だった頃の表情。
私が大好きだった、初恋だった彼の笑顔。
「(だめだ、わたし、私……坂田くんを、死なせたくない、)」
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
