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1.瞳に宿る証。 ページ1

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私の実家は小さいながらも歴史のある立派な神社だった。

そんな神社の敷地内で、私は神主であるお父さんと体が弱くて一日のほとんどを寝たきりで過ごすお母さん、そして数年前に引退して息子である私の父に神主の座を渡したおじいちゃんの4人で暮らしていた。

だけど今日は私の誕生日であるからか、いつもと違うことがあった。


「A、誕生日おめでとう」


そう言って振り返ったのは、普段安静に過ごすために寝室に敷いた布団の上で横になっているお母さんだった。なんだか今日は普段より幾分か顔色がよかったが、私は思わずその傍に駆け寄る。

お母さんは、なんということか台所に立っていた。散歩に行くくらいなら健康的にもいいと思うし止めはしないけど、料理をするなんて。危ないと思った私は思わずお母さんから野菜を取り上げると近くに椅子を持ってきてそこに座らせた。


「もー!危ないでしょ!」

「たまにはいいじゃない。Aちゃんのお誕生日くらいお母さんがお料理作ってあげたいのよ」

「気持ちは嬉しいけど、私はお母さんが心配なんだよ」


いつもと同じ朝。お弁当を作るついでに朝ご飯を作るのは私の仕事だった。たしかにいつもと同じ朝だけど、でも違うのは隣にお母さんがいること。

お母さんはなぜか嬉しそうに卵を掻き混ぜる私を見ていた。でもその瞳はどこか寂しそうでもあった。

なにかあったんだろうか。それを聞く勇気はないので何故寂しそうなのかは分からなかったけれど、普段は顔色の悪いお母さんが元気に歩いていて表情も楽そうだったことから、私はこれ以上気にしないことにした。


「あんなに小さかったAがこんなに大きくなるなんてねぇ……お父さんと出会った時のことですらこの前のことみたいに感じるのに、時が経つのは早いわね」

「それ毎年言ってるじゃん」


決まり文句のように、毎年大きくなって心身ともに大人へと近づいていく私を見てそう言うお母さんに、なんとなくくすぐったさを感じて照れたように笑った。

低身長だったお母さんの背を抜かしたのは去年の話だ。顔つきがお母さまに似てきましたね、と言われ始めたのは最近のことだ。毎日見ているので私には自覚がほとんどないけれど、お母さんにとってはこのわずかな違いですら嬉しいものなのだとか。

親ばかだと思うけれど、それを喜んでいる自分もいる。私も大概なのだ。


「Aのことはお母さんが守るからね」


浮かれていた。だから、この言葉の真意に気付けなかった。その言葉を紡いだお母さんの真剣な表情にも。

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李 雨月(プロフ) - かわいい私が好きさん» その言葉がいただけて字書き冥利に尽きます(照) タイトルもこだわっているので褒めていただけて嬉しいです。コメントありがとうございました〜! (2022年11月8日 22時) (レス) id: 8fe15b8549 (このIDを非表示/違反報告)
かわいい私が好き - 題名だけでドタイプを貫いていたので覗いてみたらもう最高の作品に出会いました👐✨これからも読み続けます😉 (2022年11月4日 20時) (レス) @page12 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - みこさん» 一コメですよ〜!面白いと言っていただけてとても嬉しいです!コメントありがとうございました◎ (2022年10月17日 0時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
みこ - 一コメ、、、?めっちゃ面白いです!ありがとうございます!更新楽しみに待ってます! (2022年10月10日 15時) (レス) @page11 id: 3112c05530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白雨 | 作成日時:2022年9月19日 21時

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