Wデート age16 ページ26
その時,桧山がいきなり立ち止まった。桧山「Wデートは,終わりだ」──え?
桧山「蒼井!」顔をあげた私に,桧山が真っ直ぐ手を差し出した。桧山「帰りは,蒼井とふたりがいい!」前を歩いていた花日が,びっくりして振り返った。何故か高尾はそんなに驚いた様子もなく,僅かに微笑んでこちらを見ている。ふたりがいい。ふたりきりでいたい。ねえ,桧山も私と同じ事,考えてた・・・・・・?目の前に迷いもなく差し出された手。不器用な桧山の,あたたかくて優しい手。この手は・・・・・・私が取っても,いいの?結衣「・・・・・・うんっ!」返事をするだけで,もう胸がいっぱいになる。笑う桧山と手を繋いで,私は笑顔で走り出した。
建物を出た私達は,ショッピングモール前の公園まで早足で歩いた。雲が夕陽のオレンジ色に染まっている。公園の噴水広場には,あまり人もいない。桧山「・・・・・・悪かったな」噴水の動きを眺めながら,桧山がぽつりと言った。結衣「え?」桧山「勝手にWデート,終わらせて」そんな事ない!私はぶんぶんとかぶりを振った。結衣「嬉しかったし。桧山の気持ち・・・・・・聞けたし。それに・・・・・・」繋いだままの手を見て,私は幸せな気持ちで呟いた。結衣「・・・・・・手,繋げた」予想はしていたけど・・・・・・そう言ったらすぐ,桧山が真っ赤になって手を振りほどいた。言わなければよかったかな・・・・・・。でも,そんな桧山も好き。噴水が一際大きく,空まで一直線に吹き上がった。割れて落ちてくる水の粒が夕陽に反射して,キラキラと宝石みたいに光っている。それを眩しそうに見ている桧山の横顔へ,そっとお願いしてみた。結衣「私,もう少し・・・・・・桧山と一緒に,いたい」凄く勇気を出して言ったのに。桧山「恥ずかしい事言うなよ」桧山はギョッとした口調で言われて,私は軽くショックを受ける。ところが・・・・・・その横顔がみるみる赤くなっていって・・・・・・。桧山「て,照れるし・・・・・・」桧山は口元を手の甲で拭うみたいにして,上擦ったような声で付け足した。桧山「・・・・・・もうちょっとだけ,遠回りしてくか」私が,イヤなんて言うわけがない。・・・・・・あーもう,なんて可愛いのかな!
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作成日時:2022年10月3日 0時