検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:2,175 hit

コクハク age11 ページ48

パニックになった私は,脱衣所を飛び出した。何処へ置いたっけ?お風呂に入った時は,まだ首にかかっていたような気がする。出る時に外した記憶がないから何処かで落としたんだと思うけど,脱衣所の床にも落ちてなかったし,どの籠にも入っていなかった。もしかしたら誰かが間違えて持っていったのかもしれないし,もしかするとお風呂では首にかけてたのかも,私の勘違いかもしれない。わからない。思い出せない。結衣「桧山・・・・・・!」番台に駆け寄って,私は縋るような気持ちで桧山に聞いた。結衣「鍵,落ちてなかった!?」桧山「鍵・・・・・・?いや,ねーけど」焦った私は,番台周りや靴箱まで見回した。だけど,何処にも鍵なんかない・・・・・・。私の様子が可笑しいことに気付いた桧山が,番台をおりて来てくれた。途方に暮れた私の肩をつかんで,自分の方へ振り向かせる。桧山「鍵が,どうした?」結衣「・・・・・・いいの,なんでもない」手を振り払って桧山に背を向ける。お風呂で温まったばかりの体が,足元から冷えていくような感覚があった。桧山「なんでもないって感じじゃ・・・・・・」ないだろ,言いかけて私の前に回り込んできた桧山が言葉を失なった。私は泣いていた。宝物をなくした自分のミスが悔しくて悲しくて,心細くてが止まらなかった。唇を噛んでこらえても,次から次へとこぼれてくる。桧山「・・・・・・大事なもの?」桧山の声は,びっくりするほど優しかった。強ばってしまった私の心をお湯で温めるみたいに,あのノートに書いた不器用な言葉みたいに優しく,もう一度聞いた。桧山「それ,お前の大事なものか?」子供みたいに泣きじゃくりながら,私はこくんと頷いた。結衣「形見なの・・・・・・。死んじゃったお母さんがずっと使ってた,鍵だから・・・・・・」それなのに,なくなってしまった。きっとお父さんは私を怒らないだろう。残念だったね,って寂しそうに笑う筈。特別大事で,なくしちゃいけない宝物だったのに・・・・・・。服の袖で涙を拭った私に,桧山「待ってろ。あ,兄さんしばらくの間店番変わってくんね?」それだけ言って,桧山は脱衣所に入っていった。 「お前,馬鹿か?」桧山「馬鹿ってなんだよ!」赤司「馬鹿は馬鹿だろ(呆)」桧山「〜〜っ!」「はいはい。兄弟喧嘩はそこまで!」結衣「お姉ちゃん!?」蓮華「やっほー!征の実家に久々に顔出しに来たら,結衣が番台に駆け寄ってるのが見えちゃって」赤司「嗚呼。一翔どうせ止めても探しに行くんだろ?なら行ってこい」お姉ちゃん達はすぐに事情を察したらしい。

次へ!

コクハク age12→←コクハク age10



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 0.0/10 (0 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:12歳 , 黒子のバスケ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:赤司蓮華 | 作者ホームページ:蓮華のホームページ?by赤司 そんなものはありませんby黒子 相変わらず息ぴったり!by...  
作成日時:2022年9月23日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。