コクハク age5 ページ42
翌日の放課後,それぞれ親から下着を買う為のお金を預かってきた私達三人は,ランドセルをいえに置いてから,ショッピングモールで待ち合わせした。三階の婦人服売り場の先に,目的の下着コーナーがあった。「おおおお・・・・・・!すごい,いっぱいあるー!なんかいいニオイもするー!」色鮮やかな下着がディスプレイされた売り場で,花日はキョロキョロしながらはしゃいでいる。まりんも展示された商品に興味深々だった。私は少し気遅れして,遠巻きに二人を見ていた。ふと横を見ると,商品説明のポップが書かれた煽り文句が目に飛び込んでくる。結衣「『寄せて,あげる』・・・・・・」ブラって好きじゃないんだよね。痛いし,窮屈だし・・・・・・。そんな事を考えていたら,キレイな女性店員さんが私に話しかけてきた。店員「サイズ,お測りしましょうか?」結衣「え!?い,いや,いいです・・・・・・」うろたえた私に構わず,店員さんはニコニコ笑いながら説明を始めた。店員「ブラジャーは毎日つけるものですから,間違ったサイズは体によくないんですよー」花日「そうなんですか」いつの間にか私の隣に来ていた花日も,感心しながら話を聞いている。その時,白くて丸いものが私達の目の前に,にゅっとあらわれた。それは,もうひとりのおばちゃん店員さんだった。ぷっくりした丸顔に濃すぎるお化粧で白くなっていて,純和風のお面———いわゆるおかめによく似ていた。店員「サイズ,お測りいたしまーす!」花日「え。いや,その・・・・」メジャーを伸ばして近付いてくるオカメ店員さんと,じりじり後退する花日。店員「ブラはサイズが命でございまーす!」そう言うなりガシッと花日を抱えて,カーテンの向こうへ行ってしまう。直後,オカメ店員さんの声が響いた。店員「試着室,一名様入りまーす!」花日「うあぁあああ!」花日の悲鳴に,私は思わず天を仰いだ。結衣「助けられなくてごめんね。無事を祈ってる・・・・・・」次の瞬間,私の両肩にガッと食い込む手があった。びくりと身をすくませて,恐る恐る振り返ると・・・・・・そこに,オカメ店員さんがいた。待って。さっき花日を連れて行ったのと同じ人?じゃなくて別の人?デジャヴ!?店員「サイズ,お測り致しまーす!」結衣「いやあぁああ!」抵抗もむなしく,私も試着室へと連行されてしまった。
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作者名:赤司蓮華 | 作者ホームページ:蓮華のホームページ?by赤司 そんなものはありませんby黒子 相変わらず息ぴったり!by...
作成日時:2022年9月23日 20時