コクハク age1 ページ38
結衣Side
思えば今日は,朝から残念な日でした。出勤前のお父さんが,やたら洗面所とお風呂場を行ったり来たりしていると思ったら,父「ごめん結衣!蓮華!うちの風呂どうも壊れちゃったみたいだ。平日は仕事があるから,修理業者さんを頼んでも立ち会えないし・・・・・・。今夜からしばらく近所の銭湯に行ってもらうことにになるけど,いいかな?」そんな事を言ってきて。大きなお風呂は大好きだけど,お父さんが帰ってくる前に,ひとりで夜の銭湯に行くのはちょっと緊張してしまうわけで・・・・・・。蓮華「父さん,銭湯じゃなくて,征の家のお風呂を借りてもいい?」父「いいよ」蓮華「ありがとう」お姉ちゃんは,征兄さんの家のお風呂を借りるらしい。お父さんも,お姉ちゃんと征兄さんの事は認めてるからすぐに許可を出した。蒼井結衣,12歳。つい最近,親友の綾瀬花日が彼氏持ちになりました。それを聞いて嬉しい気持ちになったし,素直に羨ましいなって思うのです。私も恋をしてみたい。でもうちのクラスの男子なんかとは,考えられない。だって,子供っぽいし乱暴だし・・・・・・(あっ,花日の彼氏の高尾だけは別です)。特に彼奴となんて,有り得ない。もう,絶対にムリ!そう。彼奴・・・・・・,桧山一翔とだけは。
結衣「桧山?」近所の銭湯に着いた私は,ぼんやり考え事をしながら番台に小銭を置いた。ところが,ふと顔を上げるとそこに,見た事のある男の子の姿があるのに気付いた。結衣「えっ,なんでここにいるの!?」桧山「いちゃ悪いかよ!此処,オレん家!」え?桧山のお家,銭湯やってるの?それ,初耳なんですが・・・・・・。桧山「蒼井こそなんなんだよ・・・・・・」結衣「お風呂,壊れちゃったから」あっそ,と桧山は素っ気なく返事をした。ほほう。家の手伝いをするなんて,わりと良い子じゃない・・・・・・。そんな私の視線に気付いたのか,桧山がぎろっと睨んできた。桧山「何見てんだよ。気持ち悪ぃな」これには私もカチンとくる。なんでいつも,こういう言い方をするんだろう。結衣「は?そっちこそ,絶対に見ないでね!覗かないでね!」桧山「誰が見るか!さっさと入れ!」ぷいっと私はそっぽを向いた。もう,本当に頭にくる!せっかくの大きなお風呂なのに,桧山のせいでちっともリラックス出来ない。首にかけたままの鎖の輪の先に,大切な家の鍵についていることを確認する。お姉ちゃんも,同じのをつけている。
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作者名:赤司蓮華 | 作者ホームページ:蓮華のホームページ?by赤司 そんなものはありませんby黒子 相変わらず息ぴったり!by...
作成日時:2022年9月23日 20時