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𝒩𝑜.1 〜キス・キライ・スキ〜 age1 ページ9

うちのクラスの女子は,皆お洒落だ。
可愛いポーチを持ってる子が多くて,その中には携帯用のブラシとか,いい匂いのするハンドクリームとか,少しだけ色の付くリップクリームとか化粧品が入っていたりする。
私,綾瀬花日には,その姿が眩しく見えてしまう。お洒落に興味はあるし,可愛いものは大好きだけど,自分用に買って貰うのはハードルが高すぎる。
花日「もうちょっと女の子らしく可愛くなったら,自信を持って使えるのに・・・・・・」
?「花日は,可愛いよ」
呟きに返事をされて,びっくりして振り向くと一番の親友がいた。
花日「結衣ちゃん!」
蒼井結衣ちゃん。蒼井蓮華ちゃんの妹で,私とは正反対の,大人っぽい美人さんだ。
結衣ちゃんは,私のツインテールにそっと手を触れた。
結衣「ねえ,髪の毛が乱れちゃってるよ。一回解いて,結び直してもいい?」
え,と頭に手をやると,高い位置で結んだ髪の毛が,拠れて(よれて)ボサボサになっていた。
花日「ほんとだ!直してくれるの?」
結衣「任せて」
結衣ちゃんが,そっとゴムを解く。ポーチから折り畳みのブラシを出すと,慣れた手付きで私の髪の毛を梳かし(とかし)始めた。
花日「結衣ちゃんのポーチ,可愛いね」
結衣「ありがと。誕生日に買って貰ったんだよ。お姉ちゃんは,本を買って貰ってたけどね」
花日「いいなー。そっか,蓮華お姉ちゃんの趣味って読書だったね」
結衣「うん」
私もそういうのが欲しいけど,結衣ちゃんとお姉ちゃんや他の子達よりも背が低くて,おっちょこちょいで,体型も・・・・・・六年生になったのに子供っぽいって,お姉ちゃん以外の家族にまで笑われるくらいだから,ちょっと気遅れてしまう。
それに・・・・・・。クラスの皆が休み時間にひそひそ話し合う「恋」の話にも,実はあんまりついていけてない。
アイドルの男の子が格好良いなと思ったりするけど,それは「恋」とは別の気持ちだし,クラスの男子は子供っぽくて対象外だし,こんなちびっ子の私を好きになる人がいるなんて想像もつかないから,どこか遠い世界の話みたいに感じるわ
恋してみたいけど恋ってどんなものなのか,よく,わからない・・・・・・。


𝕟𝕖𝕩𝕥➯➱➩

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