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𝒩𝑜.31〜キス・キライ・スキ〜age31 ページ39

花日Side

今すぐ高尾に会いたい。会って,ちゃんと話をしたかった。
保健室に結衣ちゃんとまりんちゃんを残し,更衣室で着替えをすませて教室に戻った私,綾瀬花日は,まず最初に高尾の姿を探した。
荷物がない。もう帰った?でも,追い掛ければまだ間に合うかな。私は教室を飛び出した。けれど階段を駆け下りながら,ふと予感がして立ち止まる。
高尾はもしかして,あそこにいるのかもしれない・・・・・・。
降りていた階段を逆に上り始める。
一番上の階にある扉をくぐって,さらに上へ。
屋上に継がるドアを開けると,その先に高尾が居た。
毎日ここで練習しようって約束した。だから,ちゃんと待っててくれたんだ。
花日「高尾!」
私の声に高尾が振り向く。なんだか嬉しくなって,私は高尾の元へ駆け出した。
そばまで行くと,高尾が結衣ちゃんの具合を聞いてきた。もう大丈夫だよと答えて,それから私は思い出した事を口にした。
花日「あの・・・・・・男子にランドセル・・・・・・」
言いかけた言葉を,高尾が遮った。
高尾「カッコよかったね」
え?びっくりして顔を上げると,高尾の柔らかい笑顔がすぐそばにあった。
高尾「さっきの綾瀬,凄いカッコ良かった」
嬉しい。高尾の言葉が,何より一番嬉しい。
何でだろう。顔を見るだけで胸がきゅーっと痛くなる。
どうしよう。このドキドキは走ったから?それとも・・・・・・。
花日「あっ,た,高尾。リコーダー・・・・・・」
高尾「ああ,今日は二小節からだな」
高尾がいきなり特訓モードになる。残念だけどホッとして,私はランドセルからリコーダー取り出した。


どれくらい練習しただろう。上手く出来なかったところを私が何度も吹いてると,楽譜を見ていた高尾が,いきなりごろんとコンクリートの上に寝転がった。
花日「あれ?私,間違った?」
高尾「・・・・・・ごめん」
いきなり謝られて,私の頭に「?」のマークが飛ぶ。
高尾「遊園地の帰りでも,相手がアイドルでも無くてごめん」
花日「ん??」
益々意味がわからない。ぽかんとする私に,
高尾「だから!綾瀬の理想のキスとは,全然違っただろ!」
ああ!そういえば,そんな事言ったような・・・・・・。
え?じゃあ高尾はそんな私の言葉を覚えてて,しかも本気にしてたってこと?
高尾「綾瀬,今日ずっと元気なかったし。本当は昨日,謝るべきだったんだけど・・・・・・。オレ,初めてで気ぃ回んなかった。ごめん!」
そう言った高尾の顔が赤い。これは夕陽のせいじゃない。・・・・・・照れてるんだ。

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作成日時:2023年10月22日 23時

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