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𝒩𝑜.25〜キス・キライ・スキ〜age25 ページ33

結衣Side

お話はまた,前日の放課後まで遡る。
高尾と花日やお姉ちゃんと征兄さんが校舎の屋上と空き教室で大変な事になっていた,その同じ頃。
当番の仕事で,私こと蒼井結衣がしばらく職員室に行っていたら,戻ってきた時にはもう,六年二組の教室には誰も居なくなっていた。
と思ったら,ひとりだけ,いた。教室の一番後ろ,作り付けの棚の上に胡座をかいて,こっちを見ているふてぶてしい男が。
結衣「・・・・・・一翔。まだいたんだ」←幼馴染みで,普段は名前呼びしている。
桧山「いて悪いか」
結衣「別に。でも他の子達は帰っちゃったんでしょ?」
桧山「ざっとリコーダーの練習をやってから,すぐに居なくなった」
予想通りの返事に,私はため息をついた。先生のアイディアも虚しく,クラスの男子と女子の対立は深刻だ。このままだと来週のリコーダーテストもどうなるか・・・・・・。
結衣「あれ,そう言えば花日とお姉ちゃんは?」
桧山「綾瀬と義姉さん(姉さん)?それなら,高尾と兄さんが連れてったぞ。綾瀬,スゲー下手だもんな。何処かで特訓でもされてんだろ。義姉さんと兄さんは,面倒臭いのは嫌いだろ。だから,人気のねぇ隣の校舎の空き教室とかで練習してんじゃねぇの?」
へえ・・・・・・高尾って,意外と面倒みが良いんだ。
まあ,高尾は元々万能タイプの男子だから,花日にも,上手にリコーダーを教えてあげられのかもしれない。
ダメなら私が教えようと思ってたけど,余計なお節介だったかな・・・・・・。
結衣「じゃあ,こっちも練習しない?」
だって一応,ペアなんだし。とは言わなかったけど。私がケースからリコーダーを取り出して楽譜を机の上に開いても,桧山は棚の上から動こうてしない。何度か促しても「結衣の聴いてる」と言って,全然練習に参加してくれない。
諦めてしばらくひとりで吹いていたものの,課題の楽譜を見るでもやなく,かと言ってリコーダーを出す訳でもない桧山の怠けた態度に,段々腹が立って来た。
遂に我慢が出来なくなって,私はリコーダーを口から離した。
結衣「一翔も練習しなさいよ」
桧山「・・・・・・だりぃ」
床の木目を眺めながら,退屈そうに桧山がぼやく。
それを見て,私の中で何かがプツンと切れた。
怠いのは私も同じだよ!恥ずかしいから男子には言えないけど,初めての生理でお腹も頭も凄く痛いし,なんだかずっと気持ち悪くて,イライラが止まらないのに。

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