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𝒩𝑜.21〜キス・キライ・スキ〜age21 ページ29

花日Side
ヨレヨレになった私達がドラッグストアを出ると,もう雨が止んでいた。
結衣ちゃんの手には,戦利品の生理用ナプキンがある。外から見えないように,不透明の袋に入れて貰っているから安心だ。
花日「何とか買えたね〜〜〜」
結衣「花日がいてくれたからだよ」
ありがとうと,結衣ちゃんが嬉しそうに笑った。
今日一番のいい笑顔が見れた様な気がして,私まで嬉しくなってくる。
結衣「あ。私こっち」
家の近くまで戻ってきた所で,結衣が道の先を指差した。
花日「うん。じゃあ,また明日!」
歩きながら何度も結衣ちゃんが私に手を振る。結衣ちゃんが見えなくなった後,私は大きくため息を着いた。
結衣ちゃんはもう大人の階段を登っている。だけど私はまだ・・・・・・。
花日「生理,いつ来るのかな・・・・・・」
結衣ちゃんやお姉ちゃんみたいにキレイじゃないし,他の子みたいにお洒落でも無い。
それにやっぱり恋なんて,全然分からない。こんなに子供っぽくて・・・・・・私・・・・・・。
花日「大人に,なれるのかな・・・・・・?」
足元を見ると,雨上がりの道には,私の影だけが長く伸びていた。

次の日から,リコーダーの特訓が始まった。
場所は放課後の屋上。教室だと皆があっちこっちで練習していて,下手っぴな私は周りの音につられて上手く吹けなくなるから,別の場所でやろうと高尾が誘ってくれた。
ふたりだけの屋上は広くって気持ちが良い。コンクリートには昨日の雨が幾つも水溜まりを作っていて,夕焼け色の雲を映していた。ここなら音を外しても誰も聴いてないし,安心してリコーダーが吹ける。・・・・・・と思っていたんだけど。
楽譜と睨めっこしながら息を吹き込むと,ピュロロ〜と変な音が出た。すると高尾がクスクス笑う。
花日「笑わないでよ〜〜〜」
私が文句を言うと,高尾はちょっとだけ笑いを飲み込んだ。
高尾「随分,個性的な音だと思って」
花日「いーよ,気を遣わなくて」
高尾「じゃあ・・・・・・ド下手だね」
すっごい笑顔で言われてしまった・・・・・・。
花日「そこまで言わなくても!」
高尾がアハハと声を上げて笑う。もう,何を言っても笑うんだから。
花日「高尾はいいよね。上手だし。私,リコーダー苦手だもん」
高尾「でも完璧に出来るように,頑張るんだろ?」
「あたぼーよ」と言い返すと,
高尾「綾瀬はそういう奴だよな」
ふわっと高尾が微笑んだ。あれれ・・・・・・とってもいい笑顔。

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作成日時:2023年10月22日 23時

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