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𝒩𝑜.16〜キス・キライ・スキ〜age16 ページ24

放課後の女子トイレ。
鏡に向かって,色付きリップを塗っていた心愛ちゃんが低い声で呟いた。
心愛「空気読めよ,ババア!」
その横で手を洗っていた私に,今の暴言が嘘の様な可愛い仕草で,心愛ちゃんはくるっと振り向いた。
心愛「ねー,花日ちゃん。高尾くんとペア組むのは,この心愛しかいないでしょ?ねえ?」
花日「う,うん。そうだね・・・・・・」
相槌を打った私の肩をガシッと手で掴んで,心愛ちゃんはにっこり笑う。
耳元にリップでピンク色に染まった唇を寄せると,低い声でこう言った。
心愛「花日ちゃん,わかってるよね?」
花日「え?」
心愛「高尾くんは,花日ちゃんが隣の席で馬鹿にしやすいから,構ってるだけ」
「何?心愛ってば,優斗に構って貰えなくて,花日に八つ当たりしてんの?」
私と心愛ちゃんの会話に口を挟んできたのは,蓮華お姉ちゃんだった。
心愛「なっ!そ,そんなんじゃないわよ!」
蓮華「そうだったんだ・・・・・・。ごめんね。勘違いしちゃってわ」
心愛「わかればいのよ。花日ちゃん,さっき言ったことは本当の事だから」
花日「う,うん・・・・・・」
わかっていたことでも,他の人から言われると胸がズキっとする。高尾が私にだけ絡んで来るのは,そういう理由なんだ。そうだよね,その通りなんだけど・・・・・・。
心愛「絶対に手,出さないでよ?」
心愛ちゃんに凄まれて,私は慌てて頷いた。
花日「大丈夫。私,男子に興味無いし」
手を出すも何も,それこそ高尾から見たら,私は単なる隣の席のお馬鹿女,っていうだけの相手な訳だし。可愛い心愛ちゃんのライバルになんてならない。
心愛「ほんと〜〜〜〜?ありがとう〜〜〜〜〜」
コロッと表情を変えた心愛ちゃんは,笑顔で私の肩をぽんぽんと叩いた。
心愛「けど,花日ちゃんも髪とかサラサラで可愛いし。そのうち彼氏できるよ!」
花日「あはははは・・・・・・」
私を敵じゃないと認定したのか,急に優しい雰囲気になった心愛ちゃんは,ポーチにリップクリームをしまうと,にこにこしながらトイレを出て行った。
蓮華「ライバルじゃないってわかったら,急に手のひら返すのね。ほんと,彼奴だけは好きになれないな」
そう言いながら,蓮華お姉ちゃんはポーチの中からリップクリームを取り出すと,塗り直し始めた。
彼氏,か・・・・・・。そんなこと言われても,よくわかんないや。
兎に角今は,心愛ちゃんのことを刺激しないように気を付けながら,高尾とのリコーダー練習を頑張らないと。

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作者名:赤司蓮華 | 作者ホームページ:蓮華のホームページ?by赤司 そんなものはありませんby黒子 キセキの世代(−赤黒)「相...  
作成日時:2023年10月22日 23時

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