ママにあいたい。【文豪ストレイドッグス】【ママにあいたい。】

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あのぐにゅぐにゅをひろったへやにもういちどきた。



かべからちょろちょろとあたたかいみずがながれているところがあった。



「いれもののなかにいれて、あのタネさんにもっていこう」



うつわにおみずをいれると、ぐにゅぐにゅはみずのおもみですこしのびて、じぶんのくびにかかるちからがすこしつよくなった。



＊ ＊ ＊ ＊



タネさんはまだぐったりしていて、ぜんぜんうごかない。



「よし、おみずをかけよう！」



バシャっとかけると、めだまさんはさっきよりかはげんきになった。



「あぁ……ありがとうございます、受精卵(・・・)。どうしてここで凍え干からびていたかって？」



「なにもいってないよ」



「実は、すぐそこの部屋にボクの大切な友達がいるンです」



あたりをみるとたしかにへやはあったけど、あかいものがいりぐちにはりついていた。



「彼女はカンシから逃れるために其所へ逃げ込んで、カンシが入らないようにボクが入口に膜を張ったンです」



「へぇ……これ、きみがやったんだ」



びっしりとまくがはってて、これならカンシもはいってこれないかもしれない。タネさんってこんなこともできるんだ……



「はい。そして、彼女はボクの良い話し相手で、わずかなボクの寿命のために沢山の笑顔をくれたンです」



ここまでいいおわると、タネさんはどこかかなしげになった。





「あぁ……でも彼女はもうボロボロで、溶けてしまう運命なンです。」

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