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「よぉ、A」



「左馬刻さん!! 忙しい中すみません」



「気にすんな。まだ忙しい時間じゃねぇし……そいつ、寝てんのか?」



「はい……銃兎さん、熱があるみたいですごく辛そうなんです」



そう言うと左馬刻さんは銃兎さんの額へと手を当てる。


そして、あーあ、と少し面倒くさそうに言い放つ。



「こりゃ結構な高熱だな」



「ですよね……病院とか連れて行ってあげた方がいいですかね」



「それはこいつが起きてからだろ。寝てる間は家で寝かしとくしかねぇよ」



銃兎さんの体を起こし、担ぐようにして持ち上げる左馬刻さん。


病人をそんな風に担ぐのは如何なものかと思ったが、言っても無駄だろうから、指摘するのは諦めた。


代わりに少しでも早く下ろされるように左馬刻さんの車まで急ぎ足で向かった。



「銃兎の部下には連絡したのか? たしかお前、知り合いいただろ」



「しましたよ。部下の人たちも朝から様子がおかしいと思ってたみたいで、『銃兎さんのことよろしくお願いします』ってあっさり」



「ハハッ、そりゃお前が看病すると思われてるからじゃねぇかぁ?」



「えっ」



そんな風に思われたのだろうか。




確かに「任せてください」とは言ったけど、別にそういう意味じゃなかったんだけど……




「看病は、左馬刻さんがしてくれるんですよね?」





「あー……それなんだけどよぉ」





ばつが悪そうに左馬刻さんは続ける。



「俺この後、用事あんだよ。だから、こいつの面倒は見れねぇ」



「えっ……じゃ、じゃあ、理鶯さんに頼むのはどうですか?」



「理鶯も今日は外せない用事があるらしくてよぉ」



「えぇ……」



まじか。



ということは……銃兎さんの面倒を見れる人間が、誰一人いない。




もし銃兎さんが起きた時に誰もいなければ、いくら書き置きがあっても彼は無視して仕事に戻ってしまうだろう……さっきも、私がたまたま見つけたからよかったけど、銃兎さんに会えてなかったら、どこかで倒れて、危険な目に遭ってたかもしれないし。









「……もしかして、これ、ほんとに私が看病しないとまずい感じですか?」




「だろうな」




「……ま、まじか」







太陽はいつの間にか低く落ち、ヨコハマの海は真っ赤な夕日色に染まっていた。

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おたくちゃん - ゴハァ(吐血)最推し...尊い... (2021年5月7日 21時) (レス) id: 210f23da0b (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - コメント失礼します。一気読みしてしまうくらい面白かったです。そして、めっちゃドキドキしました(*´ω`)この物語、大好きです! (2021年1月3日 20時) (レス) id: e7a52269e4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月斗。 | 作成日時:2020年12月17日 7時

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