テンダネス ページ28
今年の冬は異常気象で、ヨコハマが辺り一面真っ白な雪景色に染まった。
雪が降らないわけではないが、ここまで積もるほどの雪はもう何年も見ていない。
休日だと言うのに朝早くから電車に乗ってバイト先までやってきた。
ふと店の扉を見ると、見慣れない貼り紙が貼ってあった。
よくよく見てみると、そこには『臨時休業』の文字が。
「嘘でしょ!? なんで!?」
慌ててスマホを確認すると、店長からのメッセージが届いていた。
「昨日から足の調子が悪くてしばらく入院することになったから、しばらくお店は休みにします」と。
いや聞いてない。
バイト休みも聞いてないが、入院することになったのも聞いてない。
もうちょっと早く教えてくれよ店長。あまりにも突然すぎるわ……
てか!! バイトないんだったら今日ここまで来る必要無かったじゃん!! 無駄足!!
私の大事な睡眠時間は!?
このくそ寒い中大急ぎで来たのに無駄とかあり!?
ひどいよひどいよ!!
働かせろ!! 私一人でも働かせろぉー!!
まだ店の開かないこの時間は、店前に人通りはなく、車の音もなくてとても静かだ。
怒りで雪を踏みつけまくってても、誰も見てないから大丈夫。
店の前に設置されたベンチの上に積もる雪を地面に落とす。
積もったふわふわの雪をブーツでゲジゲジと踏みつけていく。
ギュッギュッとなかなか心地よい音をたてるもんだから、なんだか楽しくなってきて、ストレス発散がてらしばらく踏みつけて遊んだ。
イライラも晴れて冷静になると、疲労とともに虚無感が襲ってきた。
今日一日暇すぎる。
遊びに行くにしても今から友達を誘ってここからまたどこかへ行くなんて、正直めんどくさい。
冷たいベンチに腰掛けて、楠から落ちたであろう短い木の棒で雪に適当に絵を描いてみる。
未来のネコ型ロボットやら、パンのヒーローやら、簡単なキャラクターしか描けない上に似てない。
知ってたけど、絵心が皆無すぎる。
よく見るものとかなら、もっと上手くかけるんだろうけどなぁ……。
ボーッと棒を動かしていたら、いつの間にか小さな兎が描けた。
なんかこれはそこそこ上手くいった気がする。
ちょっと可愛い。
48人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おたくちゃん - ゴハァ(吐血)最推し...尊い... (2021年5月7日 21時) (レス) id: 210f23da0b (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - コメント失礼します。一気読みしてしまうくらい面白かったです。そして、めっちゃドキドキしました(*´ω`)この物語、大好きです! (2021年1月3日 20時) (レス) id: e7a52269e4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月斗。 | 作成日時:2020年12月17日 7時