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ページ16

「A」




名前を呼ばれてハッとする。



普段なら考えてること筒抜けで怒られてたんだろうな。




銃兎さんが酔っててよかった。



そんなことを考えながら「はい」と返事をする。




「水……飲ませろ」



「へ? ……飲ませろって、こう?」




銃兎さんからコップを受け取り、彼の口元へ近づける。



飲ませろと言われても、どうやったらいいんだ?



ちょっとずつ傾ける?

こう?

んんん?



む、難しすぎる。



なんて思っていたら、銃兎さんの手が私の手に重ねられる。




そしてそのまま銃兎さんが自分で動かして、ゴクゴクと水を飲み干していった。







「私が持つ意味ありました?」


「ない」


「じゃあなんで持たせた……」






パタン、と机に倒れ込む銃兎さん。







あぁそうか。この人酔っぱらいだった。




まともに相手する方が間違ってるんだ。




酔っぱらい介抱開始から数十分、ようやくその事に気がついた。









「お待たせしました銃兎さん、ご注文のパンケーキですよぉ」



わざわざ席まで持ってきてくれた店長が声を掛けるが銃兎さんは小さく「んん」と唸るだけで顔を上げなかった。



「ふふ、これは相当飲みましたね。念の為持ち帰り用の箱に入れておいたので、食べきれないぶんは持ち帰って食べてください」



「わっ、店長、そこまでしなくてもいいのに……すみません本当に」



「いやいや、銃兎さんには、うちの大事なAちゃんを助けてもらった恩がありますから……それに、銃兎さんは今ではすっかりうちの常連ですしね」



そういわれると確かにそうだ。


初めは一週間に一回来るか来ないかだったのに、あの事件の頃には二日に一回来るようになって、それ以来、もう不審者は居ないはずなのに、週に二・三回、だいたい決まった時間に顔を出すようになった。



「じゃあ、そろそろ片付けて終わりにするよ。上にいるから、銃兎さんのお迎えが来たら連絡してね」



「あっ、はい!! 何から何までありがとうございます、店長」



「ふふふ、Aちゃんも頑張ってね」



「あはは……頑張ります」



じゃあね、と言って店長は厨房の奥へと帰っていった。



「銃兎さん、パンケーキ来ましたけど、食べれますか?」



そう訪ねてみたが返事はなかった。



この一瞬で寝てしまったようだ。



この酔っぱらい兎め、寝るタイミングまで自由だな。

○→←○



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おたくちゃん - ゴハァ(吐血)最推し...尊い... (2021年5月7日 21時) (レス) id: 210f23da0b (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - コメント失礼します。一気読みしてしまうくらい面白かったです。そして、めっちゃドキドキしました(*´ω`)この物語、大好きです! (2021年1月3日 20時) (レス) id: e7a52269e4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月斗。 | 作成日時:2020年12月17日 7時

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