青空コントレイル

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健二郎side








羽田空港管制塔のレーダー管制室。

新人のOJTもやっとひと段落し、今頃あいつは搭乗訓練中。








龍友も搭乗訓練で一皮剥けて帰ってきたから

やっぱりこの訓練には意味があると思う。








もっぱら、そんな超新人をコックピットに乗せてくれるのは

ANAの田崎さんとこだけだと聞くが。








360度ガラス窓に覆われたタワーでの目視管制よりも

モグラみたいに薄暗い室内でたくさんの画面に囲まれて

飛行機を一列に並べるレーダー管制の方が

俺には向いてる気がする。

･･･というより、俺はこっちの方が好きや。








･･･最近は管制してるみんなの後ろで

統括させられてばっかりやけど。








俺かてレーダー管制やりたいのに。









静かなレーダー管制室に内線の着信音が鳴り響く。








「はい、レーダー室、山下です」







片岡『健二郎、片岡です。

東京コントロールから連絡があった。

全日空1128便が、名古屋上空で避雷。

今のところ異常は無いみたいだけど、念のため準備してて』







「わかりました。

直人さん、全日空1128便って･･･」







片岡『･･･Aちゃんが搭乗訓練中だね。

何事もないことを祈ろう』







「はい･･･」









初めての搭乗訓練やのに。

俺も飛行機乗ってて避雷した経験なんてないぞ。

それをあいつはコックピットで･･･







直人さんの言う通り、機体に何も異常が無いことを願うしか

俺に出来ることはないけど。








･･･俺の願いも虚しく、その後再び鳴り響いた内線によって

1128便がエマージェンシーを宣言したことを知らされた。








「直人さん、スピーカーにしますので

詳細をお願いできますか」







片岡『あ、丁度東京コントロールから連絡きたから

東京コントロールの方に説明してもらおう』







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