青空コントレイル

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広臣side








俺が操縦桿を握ったのを見た敬浩さんが

操縦桿から手を離す。








小林『AII Nippon 1128. TOKYO control.

前方を飛んでる他機から報告がありました。

風は080の方向から、20ノットです。

そのまま飛行を続けると9マイル進んだところに

直径0.5km規模の雨雲があります』









東京コントロールからの通信を聞きながら

俺を見る敬浩さんに了解、の意味を込めて頷く。









田崎「情報ありがとうございます」









小林『東京アプローチとコンタクトを取ってください』









田崎「了解しました」









敬浩さんがスイッチを切り替えて

羽田の東京アプローチにコンタクトをとる。








田崎「TOKYO approach. All Nippon 1128.

10000フィートに降下中です」








『All Nippon 1128. TOKYO approach.

そちらの情報は東京コントロールから引き継いでいます。

これより羽田空港滑走路、34Lに誘導します』









聞き慣れた声に胸をなで下ろす。








田崎「健二郎だ」








敬浩さんが俺を見て笑った。








山下『All Nippon 1128.

使えない計器はAIとレーダーですか？』









田崎「はい。AIが使えないのはなんとかカバーできます。

レーダーが使えないのも、このまま雲の下まで降下すれば

特に問題ではないのですが」









山下『了解しました。

同乗してるのは登坂ですね？』









田崎「ええ、そうです」









山下『登坂、落ち着け。

って言わんでもお前は落ち着いてるやろうけど。

今から風向きと風速、雲の位置を逐一報告する。

見えへんとこは全部聞いてくれ』









「ははは、さすが健ちゃん。りょうか〜い」









田崎「だそうですので、宜しくお願いします」









敬浩さんのマイクが俺の声を拾ってくれたらしく

俺の声を聞いた健ちゃんに

「着陸できてからふざけろ」と怒られる。









本当に逐一、なんなら1分も開けずに

情報をくれる健ちゃん。







AIが使えないと、勝手に進路を逸れる心配があったが

健ちゃんのおかげで最小の誤差で収まってる。









山下『空港が目視確認できますか？』








田崎「はい、確認しました」








山下『了解しました。

方位70度へ左旋回後、最終進入コースへ向かってください。

東京タワーと交信してください』







田崎「了解」







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