青空コントレイル

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田崎さんが指さすのは手のひらくらいの大きさの画面。

確かにさっきまで正常に数値を映し出していたそれが

電源を落とされたかのように何も映し出さず、

真っ暗なままだ。








ずっと膝の上に乗せていたボーイング777機の

分厚いマニュアルをパラパラと捲る。








･･･これだ。

AIと呼ばれる姿勢指示器。

田崎さんが指さした電源が入っていない計器は

航空機が水平に飛行できているか確認するためのものだ。








これがなければ

今乗ってる飛行機が、地面に対して水平かどうか

わからないということだろうか。








･･･となると、いつの間にか機体が傾き

意図せず旋回している可能性もある。








登坂さんが頭上にあるスイッチを

パチッパチッと入れ替えてみるものの

その画面に数値が再び映ることは無い。








登坂「だめです。バックアップもやられてます」







田崎「あ！！レーダーも消えた･･･」








田崎さんが声をあげるので、ぱっと計器に目をやると、

一番大きなレーダー画面も真っ暗になっていた。

さっき私が見たときに消えた画面だ･･･








１番大きな画面は･･･

雲や他の機体を映し出すレーダーだったみたい。








このレーダーが使えないとなると

目視で雲や他機を見つけなければならないが、

それには流石に限界があるし、

コックピットからは死角になっているところもある。








旅客機にはこういう事態に備えて、

予備電源がたくさんある。






が、全て試した登坂さんが、

何も言わずに田崎さんを見つめる。








田崎「東京コントロールに

エマージェンシーを宣言しよう」








登坂「わかりました」








田崎「Aちゃん、なーんにも心配しなくて良いからね〜

俺ら訓練生のときにセスナの計器目隠しされたり

操縦席の窓を目隠しされたりしたから、

計器の一つや二つ見れなくても問題ないよ〜」








登坂さんが東京コントロールに通信してる間に

私にそう言ってくれる田崎さん。








私はこくこくと頷くことしか出来ず、

汗ばんだ掌をマニュアルのうえでぎゅっと握る。








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